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(学校だより校長巻頭言)子どもたちの「なぜ?」に寄り添う

公開日
2025/03/03
更新日
2025/03/03

お知らせ

 最強寒波が長く居座り、日本各地で連日の大雪が大きく報道された2月。留萌においても、昨年ほどのドカ雪には見舞われなかったものの、道路脇の雪山はなかなか低くならず、雪かきに追われる日々が続きました。それでも、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症は、今のところ大きな流行とはならず、ほっと胸をなで下ろしているところです。明日からは弥生3月。3学期の登校日数も残り20日を切り、いよいよ卒業・修了へのカウントダウンが始まりました。

 

 さて、子どもたちは時に大人をハッとさせるような疑問を投げかけてきます。その疑問に誠実に答えようとすればするほど、「この答えでちゃんと納得できたかな?」と、いささか不安になることもあります。中でも、「何のために勉強するの?」という問いかけは、その最たるものです。「将来、困らないためだよ」「今やっておかないと、大人になってから苦労するからだよ」といった返答をした経験のある方も多いのではないでしょうか。子どもたちにとっては、分かるような、分からないような、それでも大人が言うのだからきっとそうなのだろう、と受け止めているかもしれません。

 

 しかし、よく考えてみると、私たちは"将来"や"大人になったとき"を少なからず経験しています。過去にしなかったことを後悔したこともあるでしょう。一方で、今を生きる子どもたちにとって、将来のイメージを具体的に思い描くのは難しく、「困る」ということも漠然とした感覚にとどまりがちです。子どもたちは今を一生懸命生きていますが、今が将来の何につながっているのか、大人が思うほど意識していないことが多いのです。

 とはいえ、過去と今をつなげることは、子どもたちも日々行っています。私たちは無意識のうちに、過去の経験をもとに判断し、推測し、行動を選択しています。例えば、子どもたちも「以前に滑って転んだことがあるから、暖気の翌朝、カチカチに凍った道路を歩くときは気を付けなきゃ」といった経験を踏まえて行動しています。教科の学習や学校生活の中でも、過去の経験が生かされる場面は多くあります。「頑張って覚えたかけ算九九が、今日の買い物で役に立った!」と感じる子もいるかもしれません。

 

 では、「何のために勉強するの?」という問いに対して、どのような回答が望ましいのでしょうか。勉強の意味を取り上げた本はたくさんあり、それぞれ「なるほど!」と思える内容ばかりです。しかし、子どもたちがその答えで納得するとは限りません。大切なのは、ありきたりな言葉でごまかしたりせず、もし子どもたちが納得できなければ、一緒に考えてみようとする姿勢ではないでしょうか。子どもたち自身が勉強の意味について深く考え、向き合うことが、答えを導き出す唯一の方法なのです。


 将来に生きて働く資質・能力を養うため、何を学んだか、どんな力がついたかを重視してきた現行の学習指導要領も全面実施となってもうすぐ丸5年が経ちます(概ね10年に1度改訂されますので、折り返しということになります)。授業の直後、「何の力になったのかな?」「何の役に立つのかな?」と疑問に思う子もいるかもしれません。しかし、学習の中で「家族旅行のときに見たものが役に立った」「休みの日に読んだ本の知識が生きた」と実感できる場面があるはずです。それらを自分の言葉で表現し、積み重ねていくことで、過去が今につながっていることを意識できるようになり、自信と次への意欲につながっていくのではないでしょうか。

 過去と今、そして未来。子どもたちの歩む道は、ひとつながりなのです。

 


 卒業式まであと半月。本校では昨年度まで、新型コロナの感染対策として、やむなく式に参加する児童数を制限してきましたが、今年度は久しぶりに「全学年による対面形式」で行うこととしました。それでも、式の内容はコロナ以前よりもシンプルな構成にし、全体での練習時間も最小限に抑えるようにしました。年度末を迎え、学校現場は1年で最も多忙な時期を迎えていますが、子どもたちも、そして私たち教職員も、残りわずかとなった6年生たちと向き合う時間を大切にし、みんなで"感動・感謝"に包まれた素晴らしい卒業式を創り上げていきたいと思っています。

校長 秋葉 良之

(令和7年2月28日(金)発行・第23号より)