学校日記

その悲しさを優しさに、その悔しさを何かを許す心に、

公開日
2018/03/11
更新日
2018/03/11

トピック

わたしが何かを伝えようとしても、きっと文章が空回りするので3年前の全国東日本大震災追悼式で、天皇陛下の前で教え子が読んだ式辞を載せます。
読んでいただければ幸いです。山田に津波が押し寄せたのは午後3時22分頃でした。   黙祷


岩手県代表、内舘伯夫(みちお)さん(38)=山田町出身

 はじめに、いまだご遺体がみつからない方々のご冥福を祈り、ご遺族の方々にお悔やみ申し上げます。

 あれから4年が経ちます。毎日の生活の中で、ふとした時に、父との温かい思い出に優しく包まれます。そして、その少し後に、あの大きな津波の光景と冷たい泥や無数のがれき、父の遺体と対面した記憶がよみがえり、悔しさで胸が苦しくなります。

 そんな時は、父が、「俺のことよりも他の人を」と言っている気がします。津波にのまれるときに、父が最後にそう伝えていたのかもしれません。私よりも、もっとつらい体験をされた多くの方々を思い自分の気持ちをこらえます。

 数百年数千年に一度と言われる震災を経験した私たちは、時の経過と共に前へ進みます。形あるものは、いずれ復興を遂げ後世に残るでしょう。

 時々、時間とは反対に進む気持ちがあります。記憶が少しずつ薄れゆくのではないかという恐怖と、胸に閉じ込めた記憶を忘れてはいけないという気持ちです。しかし、それを思い出せば、悲しく、悔しく、後悔と自責の念に駆られます。

 形あるものの復興と共に、私たちがこれからの数百年数千年先へ、その悲しさを優しさに、その悔しさを何かを許す心に、その後悔と自責の念を生きている私たちがお互いを思いやり助け合う心にしたことを、伝え残していくこと。

 それが、私たち日本がこの震災を乗り越えた証しとなり、亡くなった方々への最大の敬意であると信じ、一日一日を大切に過ごしていきます。