学会長あいさつ

麗澤道徳教育学会開設の辞 麗澤道徳教育学会 会長 井出 元 道徳教育専攻の大学院の設立  「道徳の教科化」の実施に伴い、道徳教育の内容はもとより、教授法や評価法などについても具体的な指針が提示され、道徳科教育の基盤が整いました。この施策は、グローバル化する将来を見すえ、時代が抱える諸々の学校問題への対応であると同時に、我が国が長年にわたり培ってきた人間教育の伝統を継承し発展させるものでもあります。そして、各都道府県教育委委員会によって地域の実情を勘案した具体的な施策が提示され、各校において道徳教育推進講師を軸とした道徳科を担当する教員の指導力向上への努力が成果を挙げつつあります。このような道徳教育に対する期待の高まりを背景として、麗澤大学では2018年に道徳教育専攻の大学院の創設に踏み切りました。  さらに廣池学園は1935年の創立以来、80余年に亘り一貫して道徳教育を根幹に据え、新たな時代をリードする人材の育成に尽力してきました。現在では生涯教育・生涯学習という視点から道徳教育を展開し、幼稚園から中学校・高等学校そして大学に至るまで必修の科目として道徳教育を位置づけています。さらに教員を対象とした研修会などを展開し、教育者の育成に力を注いできました。そこで、今回の道徳の教科化は創立以来蓄積されてきた研究・教育の実績を広く社会に還元する機会であると考え、道徳教育に特化した大学院の設立に至りました。 現職教員および教師経験者の学びなおしの場  本大学院で展開する土曜日開講の授業と長期休暇を利用した集中講義という変則的なカリキュラム構成は、現職の教員のために設定したものです。入学する院生に共通するのは、長年にわたる教育現場での体験を振り返り、道徳及び道徳教育の本質にかかわる学習と基礎研究を積むことによって教育者としての知見を高め、将来の道徳教育に自らの体験を活かしたいという先覚者としての使命を果たすための「学び直しの場」としての大学院での研究生活を大切にしている点です。   麗澤道徳教育学会の開設  基礎研究とは先行する研究成果を尊重し、現場の実態を注視し、自らの知見に基づいて資料を整理・分析するという地道な努力の累積を基本とするものです。それは完結することのない課題であり、修士論文を執筆することは結論の斬新さよりも、本人がどのような新たな課題に気づき挑戦したかということが重要であると考えています。院生の掲げる研究テーマは、校長・教頭、さらには学年主任など学校教育の運営にかかわる立場にあったからこそ実感された教員者としての問題意識や使命感の高さといったものが反映されています。そして、基礎科目(道徳教育の本質に関する科目)や専門科目(道徳教育法及び道徳科教育法に関する科目)を履修することによって、そもそも道徳教育とは何かという根源的な問いに対する学習と研究は道徳科の授業のみならず、広く教育や教員の在り方を問い直すこととなります。ここに本大学院が掲げる「道徳教育及び道徳科のよりより在り方を探求する人材の育成」・「道徳教育を通じて学校の教育力を高めることのできる人材」の育成という課題があります。 そして、大学院生としての研究生活を通して教育者としての新たな課題を発見し、自分自身の教育者としての力量を自省し、より一層の努力を重ねていこうとする意志の高さに道徳教育の将来を託すことのできる重要な資質があると考えています。ここに本大学院が最も大切にする「教員及び研究者として、自己の品性や道徳性を磨き続ける人材」の育成という課題があります。 しかし、学校教育や教員に新たな知見を提供し得る専門的な学識を供えた人材の育成は決して限られた修学期間で実現するものではなく、各自が生涯に亘って不断に研鑽しつづけるものです。よって教員・研究者としての資質能力の向上を目指して自らの道徳性を高め続ける意思を育む場が大切であると考えています。このような意味から、会員相互の交流による今後の研鑽の場として、さらに道徳教育学という新たな領域の開拓に向けた取り組みの拠点の必要性を感じ、第一期生の修了と同時に麗澤道徳教育学会を開設した次第です。 今後、研究成果の報告の場として、学会誌の発行や定期的な研究会・研修会などを企画し、微力ながら研究の成果を広く教育現場に還元していくことに尽力したいと考えています。 麗澤大学大学院特任教授・学校教育研究科 研究科長 麗澤道徳教育学会開設の辞 麗澤道徳教育学会 会長 井出 元 道徳教育専攻の大学院の設立  「道徳の教科化」の実施に伴い、道徳教育の内容はもとより、教授法や評価法などについても具体的な指針が提示され、道徳科教育の基盤が整いました。この施策は、グローバル化する将来を見すえ、時代が抱える諸々の学校問題への対応であると同時に、我が国が長年にわたり培ってきた人間教育の伝統を継承し発展させるものでもあります。そして、各都道府県教育委委員会によって地域の実情を勘案した具体的な施策が提示され、各校において道徳教育推進講師を軸とした道徳科を担当する教員の指導力向上への努力が成果を挙げつつあります。このような道徳教育に対する期待の高まりを背景として、麗澤大学では2018年に道徳教育専攻の大学院の創設に踏み切りました。  さらに廣池学園は1935年の創立以来、80余年に亘り一貫して道徳教育を根幹に据え、新たな時代をリードする人材の育成に尽力してきました。現在では生涯教育・生涯学習という視点から道徳教育を展開し、幼稚園から中学校・高等学校そして大学に至るまで必修の科目として道徳教育を位置づけています。さらに教員を対象とした研修会などを展開し、教育者の育成に力を注いできました。そこで、今回の道徳の教科化は創立以来蓄積されてきた研究・教育の実績を広く社会に還元する機会であると考え、道徳教育に特化した大学院の設立に至りました。 現職教員および教師経験者の学びなおしの場  本大学院で展開する土曜日開講の授業と長期休暇を利用した集中講義という変則的なカリキュラム構成は、現職の教員のために設定したものです。入学する院生に共通するのは、長年にわたる教育現場での体験を振り返り、道徳及び道徳教育の本質にかかわる学習と基礎研究を積むことによって教育者としての知見を高め、将来の道徳教育に自らの体験を活かしたいという先覚者としての使命を果たすための「学び直しの場」としての大学院での研究生活を大切にしている点です。   麗澤道徳教育学会の開設  基礎研究とは先行する研究成果を尊重し、現場の実態を注視し、自らの知見に基づいて資料を整理・分析するという地道な努力の累積を基本とするものです。それは完結することのない課題であり、修士論文を執筆することは結論の斬新さよりも、本人がどのような新たな課題に気づき挑戦したかということが重要であると考えています。院生の掲げる研究テーマは、校長・教頭、さらには学年主任など学校教育の運営にかかわる立場にあったからこそ実感された教員者としての問題意識や使命感の高さといったものが反映されています。そして、基礎科目(道徳教育の本質に関する科目)や専門科目(道徳教育法及び道徳科教育法に関する科目)を履修することによって、そもそも道徳教育とは何かという根源的な問いに対する学習と研究は道徳科の授業のみならず、広く教育や教員の在り方を問い直すこととなります。ここに本大学院が掲げる「道徳教育及び道徳科のよりより在り方を探求する人材の育成」・「道徳教育を通じて学校の教育力を高めることのできる人材」の育成という課題があります。そして、大学院生としての研究生活を通して教育者としての新たな課題を発見し、自分自身の教育者としての力量を自省し、より一層の努力を重ねていこうとする意志の高さに道徳教育の将来を託すことのできる重要な資質があると考えています。ここに本大学院が最も大切にする「教員及び研究者として、自己の品性や道徳性を磨き続ける人材」の育成という課題があります。 しかし、学校教育や教員に新たな知見を提供し得る専門的な学識を供えた人材の育成は決して限られた修学期間で実現するものではなく、各自が生涯に亘って不断に研鑽しつづけるものです。よって教員・研究者としての資質能力の向上を目指して自らの道徳性を高め続ける意思を育む場が大切であると考えています。 このような意味から、会員相互の交流による今後の研鑽の場として、さらに道徳教育学という新たな領域の開拓に向けた取り組みの拠点の必要性を感じ、第一期生の修了と同時に麗澤道徳教育学会を開設した次第です。 今後、研究成果の報告の場として、学会誌の発行や定期的な研究会・研修会などを企画し、微力ながら研究の成果を広く教育現場に還元していくことに尽力したいと考えています。 麗澤大学大学院特任教授・学校教育研究科 研究科長