「 校長式辞 」「 PTA会長祝辞 」「 在校生代表送る言葉 」の様子です。
〜 校長式辞 〜
柔らかな春の光に包まれ、膨らみ始めた桜のつぼみに、厳しい冬を自らの力で乗り越えてきた卒業生の姿が重なります。
保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。
そして、やむを得ないこととはいえ、このような形で式を執り行うことを、心よりお詫び申し上げます。
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今、卒業証書を手にした我が子に、15年間の子育てを振り返り、立派に成長した姿に、感慨もひとしおのことと拝察いたします。
3年間にわたり、皆様にとってかけがえのない大切なお子様をお預かりし、私ども教職員一同誠心誠意努めてまいりました。
中には至らぬ点があり、ご不満に感じることもあったかと存じます。
そうした中であっても、本校の教育活動に対し、常にご理解とご協力を賜りましたことに、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、卒業生の皆さん、改めてご卒業おめでとうございます。
今、一人ひとりに卒業証書を手渡しましたが、自信に満ち溢れた表情の中に、3年間のさまざまな思いと、これから新しい世界へはばたくのだという力強い決意を感じ取ることができました。
飛鳥中学校で過ごした日々の中で、誰と出会い、何を学び、どんなことを考えてきたのでしょうか。
嬉しい出来事がたくさんあったことと思います。また、辛く苦しい時もあったことでしょう。
共に語り合える友人に、共感し合える友達に巡り会うことができましたか。
卒業して時が経つにつれ、中学校時代の思い出は深くなってゆくものです。
3年間という貴重な中学校生活の多くの時間を、感染症への対応に追われ、不自由で不安な日々に悔しい思いもあったことでしょう。
学校行事が十分な形で実施できなかったことや修学旅行を中止しなければならなかったことは、苦渋の決断であり、今でも申し訳ない思いでいます。
しかし、この2年間は、誰もが見えない敵と戦う日常となり、当たり前のことが当たり前に出来ることを、健康に過ごせることのありがたさを、そして、これほどまでにお互いを気遣い過ごしてきたことがあったでしょうか。
一方で、こうした日常は、見えないものに支えられていたことに気付かされた日々でもありました。
人間の真の価値は、楽しいときや嬉しいときより、むしろ辛く苦しいときの心の持ちようやふるまいにこそ、その真価が表れます。
コロナ禍にあって、私たちは、他者への想像力、寛容さ、そして、周囲への配慮といった、人として大切なことを学びました。
また、オリンピックイヤーとなったこの1年間は、世界で活躍するアスリートに注目が集まりました。中でもメジャーリーガー、大谷翔平選手の名前を耳にしない日はなかったように思います。
打っても、投げても、走っても規格外の能力を見せる大谷選手を、現地のメディアは「The sky is the limit 」つまり「可能性は無限大だ」と報じました。
終わってみれば、ア・リーグMVPをはじめ、数々の賞を受賞する大活躍でした。
そうした大谷選手ですが、スポーツ番組では「二刀流なんて、無茶だ、ケガをする」「どっちも中途半端になる」と、前例のない道なき道を歩むパイオニアに吹きつける世間の風は、必ずしも温かいものばかりではありませんでした。
しかし、大谷選手は、『先入観は可能を不可能にする』というかつての恩師の「言葉」を胸に、無理だ、不可能だといわれても、「誰かがやった後に続く」とか、「誰かがやったことをやる」のではなく、自分自身を信じ、新しい世界を切り開いていきました。
先の見通せない、将来の予測が困難な状況になりつつあるこれからを生きていく君たちには、前例や過去のやり方にとらわれず、お手本のない中でも、自らの力で基準を作り、行動することが必要になります。
「The sky is the limit 」「可能性は無限大だ」と言う言葉のとおり、君たち一人ひとりには、無限の可能性が秘められています。
その可能性を信じて、一度しかない人生を精一杯輝かせてください。
飛鳥中学校を離れ、それぞれの道を歩み始めた、第73期生の前途に、幸多きことを願い、式辞といたします。
令和4年3月18日
北区立飛鳥中学校長 高田 勝喜