【 校長式辞 】
出会いと喜びの春を感じるこの佳き日に、希望に満ち溢れた新入生72名を迎えることができ、たいへんうれしく思います。
新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
今日は、飛鳥中学校の一員として、また、新校舎への最初の入学生としての、第一歩を踏み出す日となりました。
中学生となり、新たな目標や決意、やりたいことや頑張りたいことなど、今の気持ちを大切に、中学校生活の様々な活動を通して、達成感や成就感を味わってくれることを願っています。
つづきは、『 校長式辞・ここをクリック 』に掲載しました。
校長:高田勝喜
みなさんの入学にあたり、金子みすゞさんの「 星とたんぽぽ 」という詩について、ここにいるみんなで一緒に考えてみたいと思います。
「 見えぬけれどもあるんだよ。見えぬものでもあるんだよ。」という一節を耳にしたことがある人もいるでしょう。
この詩は、「 星とたんぽぽ 」を題材に、目には見えませんが、夜空に輝く星と同じように、昼間の空にも星があることを気付かせてくれます。
また、春に花を咲かせるために、冬の地面の中では、たんぽぽの根っこがしっかりと生き続けていることを伝えています。
「 見えないけれどもあるんだよ。見えないものでもあるんだよ。」とは、目には見えなくても、しっかりと存在しているものがあるということです。
みなさんは「 目で見て確認することはできないけれど、必ずそこに存在するもの 」と言われた時、何を思い浮かべますか?
「 風や空気 」それとも「 優しい気持ちや心遣い 」あるいは、「 友情や愛情 」でしょうか。
金子みすゞさんが伝えたかった「 見えぬもの 」とは物質的な意味での「 昼間の星 」や「 地中のたんぽぽの根っこ 」だけではなかったはずです。
私たちが生きているこの世界には、見えるものと見えないものの二つで一つ、むしろ見えないものの中にこそ、大切なことや真実があるということを伝えたかったのではないでしょうか。
さて、新入生のみなさんは、これから、新しい友達や先生方との出会い、教科担任制の授業や部活動、そして、新しい校舎での生活・・・と、たくさんの新しいことが始まります。
新しいことが始まるとき、その土台には、それまでに多くの人たちが、長い時間をかけて準備してきたものがあります。
また、新しいものを築くために携わった人々の思いや願い、支えがあります。
今、私たちの目に映る新しく生まれ変わったこの校舎にも、目には見えない思いや願いが確実に存在しています。
それは、飛鳥中学校を新築校と変わらない設備や施設にリノベーションしたい、また、開放的で明るい校舎で学校生活を送ってほしい、あるいは、創立100周年を迎えることができる学び舎をと、たくさんの思いや願いが込められています。
校舎だけではありません。みなさんは今日の日を迎えるまで、そしてこれからも、保護者の方をはじめ、たくさんの人たちの目には見えない思いや願いに支えられていきます。
中学生となった今、こうした「 見えぬもの 」があることを意識し、それを受け止められる人であってほしいと願っています。
改めまして、保護者のみなさま、お子様のご入学、誠におめでとうございます。
みなさまにとってかけがえのない大切なお子様72名を、確かに飛鳥中学校でお預かりいたしました。
これからの世の中は、技術革新の発展とともに、どのように変化していくか想像がつきません。しかし、どんなにAIやIOTが進化しようとも、機械が人の心を持つことは難しいでしょう。
だからこそ、先ほどの詩の一節ではありませんが、目には見えなくても、そこにある人の痛みや思いを感じ、想像することができる、心の目を育てていくことが大切であると考えています。
お子様一人ひとりの心と体が健やかに成長できますよう、これから3年間、手を携え、ともに支えていけるよう、ご協力をお願いいたします。
本日、新たなスタートを切った新入生一人ひとりの可能性を信じ、3年間の中学校生活が充実したものであることを願い、式辞といたします。
令和4年4月7日
北区立飛鳥中学校長 高田 勝喜