学校日記

12月の全校朝会講話「適した時期」(12/2)

公開日
2013/12/03
更新日
2013/12/03

校長室

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上所小学校は、鳥屋野村という農家の人たちが創った学校です。この鳥屋野村では、昔から米や野菜などたくさんの農作物を育ててきました。今でも学校の近くには、有名な女池菜があります。3年生は、松田さんという女池菜づくり名人の方に来ていただきき、女池菜づくりの勉強をしています。2年生は、山田さんという花育センターの野菜博士から、トマトやピーマンなどの野菜の育て方を習いました。
 そういう農家の人たち、花育センターの人たちは、いろいろな作物に、いつごろ、どんな肥料をやったらよいかをよく知っています。作物が成長する途中で肥料をやらないで、実のなるころになって慌てて肥料をやっても、いいトマトはできません。きゅうりやなすも大きく育ちません。それぞれの作物には、成長の一番大事な時期に、最も適した肥料を与えることが大切なのです。例えば、イチゴは、苗を植えてから3週間ぐらい経った時に、化成肥料を一つまみずつ与えると、美味しい実がなるそうです。また、ブドウは、収穫の後の冬から春にかけて、鶏糞や油かすなどの有機肥料をまくと、団粒構造の土(空気がたくさん入るつぶつぶの土)ができて、よい実ができるそうです。
 「桜の花が咲いたら種をまく」という農家の人もいます。この時の種は、きゅうり、かぼちゃ、なす、いんげんなどだそうです。私たちの周りで咲くソメイヨシノなどのサトザクラの花が咲く時期は、昔から農作業を始める時期の指標(目印)とされてきました。そして、私たちが育てようとする野菜などは、種を蒔くのに適した時期が決まっています。例えば、トウモロコシは4月の中旬、ダイコンや小松菜、ほうれん草は9月中旬に種を蒔くのだそうです。
 このように、作物には、「種をまく時期」や「肥料をやる時期」、それぞれに一番「適した時期」があります。

 このことは、私たち人間にとっても同じです。私たちの成長にとって、一番適した「種をまく時期」や「肥料を与える時期」があります。
 皆さんはいつころ漢字を覚えましたか。平仮名が読めるようになったのは何歳頃だったでしょうか。いつころ数字が書けるようになったでしょうか。それぞれ、適した時期にいい種をまいてもらったから、読んだり書いたりできるようになったのです。
 そして、今2年生はかけ算「九九」を覚えています。芽が出た数字の種に、足し算や引き算の肥料が加わりました。2年生ではかけ算「九九」の肥料が大切です。九九を覚えるのに適した時期が2年生なのです。5年生になってからではだめです。
 これは、私たち大人も同じです。子どものころに自転車や一輪車の乗り方を覚えた人は、途中で特に練習をしなくても、大人になってからも楽に乗りこなすことができます。小学校2年生で覚えたかけ算「九九」は、途中で練習しなくても、今でもしっかりと覚えています。
 人間は、トマトやダイコンなどの植物より、もっともっと複雑な成長をします。ですから、私たち人間にとって、成長の最も大事な時期、子どもの時に、質の高い、いい経験をたくさんしておくことが、大切な肥料になり、豊かな成長につながるのです。そして、皆さんに質の高い、いい経験をたくさん提供し、いい肥料を与えてくださる、豊かな成長へと導いてくださるのが上所小学校の先生方です。そして、皆さんのお家の方です。いい肥料をたくさんもらってください。

文責;校長 森 正司