73 笑乱万丈 リボン事件
- 公開日
- 2024/06/21
- 更新日
- 2024/06/22
志水 廣:自己紹介・書籍紹介 笑瀾万丈
番外編 リボン事件
ヒロシは校長室で校長先生と対談していた。
突然、「どけっ!!」という大声が校長室に響き渡った。偉そうなかっこうをした人だ。
ヒロシには、この人物が誰だか分からない。
「何を言うか」と思ったが、ぐっとこらえた。
この瞬間、知り合いの指導主事に目配せしたが、無反応であった。
そこで、別テーブルにヒロシは移動した。
それならば、黙っておこうとしていた。
時間が過ぎていく。
どうもさっきのお方は教育長らしい。
ヒロシは、怒りを抑えて黙りを決め込んだ。
県の算数教育研究大会がこの学校であった。
ヒロシは講演講師として呼ばれたのであった。
その間、私のことを講師だと認知している指導主事は一つも動かなかった。
ヒロシは頭に来ていた。
いつ帰ってやろうかと。
リボンが配布された。小さい白いリボンが私の目の前に置かれた。それで、白いリボンを胸につけた。
15分ほどして、例のお方が口を開いた。
「そういえば、今日の講演の講師はまだ来ていないなあ」
校長室の人が「そうですね」と相づちをうった。
そこで、おもむろに小さな声で「私が講師なんですけれど…」と言った。
そしたら、突然慌てだした。
例のお偉いさんは、どうぞどうぞと言ってさきほどのソファーに案内してくれた。
そして、「先生、どうぞどうぞ、この大きな赤いリボンに替えてください。」と。
明らかに顔は怒っていた。
睨みつけてやった。これもまた、笑劇的な事件であった。
うっぷんをはらすかのように講演では、ヒロシパワーが爆発した。とてもうけた。