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子どもの発言をみんなの舞台にのせる

公開日
2022/04/01
更新日
2022/04/01

算数・数学授業:志水メソッド総括 ○付け法、意味付け復唱法、音声計算、適用問題定着法など

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「志水式意味づけ復唱法」は,次の2つのステップを踏む。
ステップ1:子どもの発言を復唱することによって授業の舞台にのせる。
ステップ2:舞台にのった発言に対して,教師(子ども)が切り返すことによって,
本人または他の子どもが元の発言に対して補完,焦点化,確認,共有して,もとの発言の内容が他の事象と関係づけられていき,より広く,より深く意味づけられていく。
 このより広く,より深く意味づけられていくということは,意味の精緻化や体制化につながるということだ。

注:精緻化と体制化 精緻化とは,入力された新しい情報に何かを付加したり,相互に関連づけたり,変換する処理過程である。それには既有の知識構造が重要な役割を果している。 体制化とは,学習の際,学習材料の各要素がばらばらではなく,全体として相互に関連をもつようにまとまりをつくることである。情報の整理・体系化をいう。

 ステップ1で発言を舞台にのせるということは,教師のみならず子どもたち全員の議論の対象,追究の対象とするということである。それは発言した本人にとっては,メタ認知化を促す。また,復唱した教師も実はその発言の意味を再度考えるという意味でメタ認知化しているのである。 このとき,教室の構成員である教師,子どもたちがその発言の意味を考え始めるのである。それはどういう意味か。これと関係あるのかな。別の例で言えばどうなるのかな。この場合はだめだよ・・・などと子どもの思考を促すのである。 これは,うまい授業ではごく普通に行われている授業の断面なのだ。 しかし,志水式復唱法の場合は,これを意図的にやろうというわけである。
 教師による一方的な説明による授業では上の復唱そのものがない。また,教師が子どもの発言を都合のよい解釈をする授業は,子どもの発言を取り入れているようだけれど,教師の解釈の押しつけにすぎない。志水式では,教師の解釈もするが,でも子どもたちの解釈によって意味を広げ,深めようとするのである。 教師による復唱というのはある意味では,子どもたちの前に発言をのせてみる。しかも解釈しないでのせてみるのである。本当は教師の頭の中では解釈しているのだが,

これを解釈するのは君達なんだよと示すことである。そのとき,子どもたちが食らいついていくのである。 これらの作用によって,子どもたちの頭の中の知識構造がより緻密になっていく。そして,結果として記憶に残ることになるのである。単語の繰り返しで暗記するのとは異なる方法なのだ。

[志水 廣の公式ホームページ]20.9.27