令和3年度 新たな課題に対応した人権教育研究推進校としての実践報告について
- 公開日
- 2023/04/17
- 更新日
- 2023/04/17
令和3年度 人権教育研究事業
令和3年度、本校 明石市立大観小学校は兵庫県教育委員会と連携して人権教育研究事業に取り組みました。
今日的課題とされる人権問題(児童虐待、DV、障がい者、外国人、インターネットによる人権侵害、性的マイノリティ、新型コロナウイルスなど)に正対し、課題に対する効果的な指導内容・方法などの実践的な研究を行ってまいりました。
研究成果の実践報告(教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間の4領域を中心に)を以下に記載しますので、よろしければご覧ください。
明石市立大観小学校
校長 田中 秀夫
教頭 辻 勝由
主幹教諭 松本 創
教諭(人権教育研究推進教員) 高妻 俊彦
−令和3年度 新たな課題に対応した人権教育研究推進校としての取組−
1 研究当初の児童生徒の状況と課題
新型コロナ感染拡大に伴い、大観小学校の内外でも様々な生活制限がかかるようになり、その影響から、家庭間の交流やスクールガードや地域の方々と学校との関わりの希薄化が進みました。また、学校教育活動においてもこれまでに取り組んできた学習や活動に制限がかかったことで双方向の関わりが減り、児童たちの自尊感情や自己肯定感を高める機会が少なくなりました。加えて今日の社会情勢の変化に伴って、児童同士によるオンラインゲームやSNSのトラブルへと発展したこともありました。
現状を改善するために「人とのつながり」を基軸に、自尊感情・自己肯定感の向上に向けた教育活動を教職員一丸となって取り組んでいくこととしました。具体的な取組として、ネットトラブルの未然防止に向けた授業(国語科でのオンライン掲示板の使用について、道徳でのSNSトラブルについて)や、特別活動(インターネット利活用状況の増加傾向からSNSトラブルの撲滅に向けた児童会活動の啓発活動)、総合的な学習の時間での地域とのつながり(防災教育を通した、地域住民と共に生きていこうとするつながりの再確認)を実践してきました。また、延期が繰り返されてきた学校行事も、児童の成長する機会であることを考え、方法を工夫し縮小規模で開催しました。児童の自尊感情の変化についてはQUテストを活用することで児童の心理状況を数値化し、実態に応じた指導を綿密に行いました。これらの学校教育活動を通して人とのつながりの維持と児童の心の豊かさを育めると仮定し、実践に取り組んできました。
2 研究テーマ
「自分・人・大観が好きで 未来に向かい今をたくましく生きる子どもの育成
〜自分を見つめ 町とつながり 未来へ生きる場の工夫〜」
3 ねらい
自尊感情・自己肯定感を高めるとともに、他者の多様な見方や考え方を受容し合いながら、公正公平な態度で合意形成を図り、ともに社会を構築する意志を持ったよりよい人間関係を築こうとする態度を育てる。
4 具体的な取組
(1)研究の概要(様式1)
(2)各領域における取組
ア 教科における取組
・取組の概要(様式2)
・学習指導案
・ワークシート、児童の感想
イ 道徳における取組
・取組の概要(様式2)
・学習指導略案
・ワークシート、児童の感想、その他
ウ 特別活動における取組
・取組の概要(様式2)
・活動内容の報告
・QUテストの結果及び考察(概略)
エ 総合的な学習の時間における取組
・取組の概要(様式2)
・学習指導案
・児童の学習成果物
5 成果と課題
(1)成果
自尊感情の高まりや他者理解の向上の為に受容する心を豊かにしようと、教職員が理解して取り組んだことで子どもたちの一つひとつの伸びを共に喜び大事にすることができました。特に学校行事では、自分の伸びを実感しやすく、また困難に立ち向かおうとする精神的な強さも培われることが分かりました。そこで得られた学びは、児童の自尊感情や自己肯定感を育むためには必要不可欠であると考えます。また、児童は、ネットトラブルについての学習を主体的に取り組むこともできました。学習の結果、多くの児童は、自分と他者の価値観や認識はそれぞれ異なり、相手の気持ちを思いやることでトラブルを未然に防ぐことができると理解することができました。
(2)課題
一方、全ての児童の自尊感情や自己肯定感が向上したわけではなく、平素の学校教育活動だけでは全ての児童の課題解決を十分にすることができませんでした。児童のQUテストの結果としては全体的に向上しつつありますが、引き続き児童の伸びを実感させ、言語化や数値化を通して実態を把握し、自信をもたせる指導や取組を実践していきたいです。