算数のよさ
- 公開日
- 2023/08/19
- 更新日
- 2023/08/19
船井幸雄の人間学
教材開発でも上の本物の条件は大切である。本物の教具は、単純な仕組みで誰でも使えるということ、準備が簡単ということ、いつでも使えること、どこでも使えることである。教具でいうとおはじきやブロックというのは汎用性の高い教具で本物と言えよう。
だから、品物でもまた組織でも複雑化していくものには?がつくと船井氏はいう。逆に単純化していくものには価値が高いと言えるだろう。数学でいうと単純化していこうと思えば、それは原理的なものになる。集合の考えもその一つだろう。いろいろな事象を数理化していく中でより原理的なものを見つけていこうとする態度は、数学のよさにほかならないわけである。このあたりに数学教育の目標論をおくこともできるだろう。
以前、学習指導要領で「算数のよさ」という言葉が登場したが、非常にシンプルであり的確である。しかも算数の専門の教師でなくともなんとなく分かることばである。そういう意味では「よさ」という言葉は本物といえそうだ。だから、私は、算数のよさというキーワードを支持するものである。
なお、算数科の授業ではよさの前に問題が解けるという状態が一番大事である。子どもが問題を解けなくて、先に進もうとする授業を見ることがある。こういう教師の態度を周りの参観者ばかり見て、子どもを見ていないと言うのだ。上っ面の教育理論ばかりみて、子どもの実態を見ていないのだ。だからこういう教師をみるとなさけなくなる。算数科の本質、授業の本質が分かっていないと思う。子どもの理解は一歩一歩である。できない子どもをできるようにさせること、これが根本である。その次に算数科のよさを感得させるようにするべきだろう。
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