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プラス発想を教育に適用してみよう

公開日
2023/08/21
更新日
2023/08/21

船井幸雄の人間学


〔教育への適用〕
 まず、子どもに未来を信じさせ、プラス発想を持たせることである。
 このプラス発想は、過去や現在を肯定することから始まる。そうすると、子どもの現在の力を肯定して指導にあたるべきだということである。
 例えば、三年生の子どもを受け持ったとき、何人かの子どもがかけ算九九をまだ覚えていなかったとしよう。そのとき、なぜ、覚えてこなかったのかと子どもに詰問したり、前担任のことを責めてもしかたがないのである。「そうか覚えてこなかったのか。でも、九九は算数では大事な内容だから、先生と一緒に覚えようではないか。」と子どもに問いかけてやりたい。これがプラス発想である。そうして、子どもに達成感を持たすことができれば、子どもから感謝されるのである。
 昨年、広島県のある小学校の校長先生にあった。その校長先生が赴任したときは、先生どうし、また先生と校長とのあいだで亀裂があったそうだ。これは、子どもにも影響して荒れていたそうだ。この荒れた事実については、地元の父母から私は直接きいたから間違いない。普通なら校長先生はなんと運の悪いことだと思うだろう。 ところが、違ったのだ。「私は、運がよかった。先生方はこの学校が悪いということを自覚されていたので、これからなんとかしようと声をかけたから、みんなそうだそうだと意見がまとまったという。だから運がよかったという。」これぞ見事なプラス発想であった。もちろんこの学校の研究公開は成功したのであった。私もこれ校長先生の姿勢を見習いたいと思った。
 どうも人生というのは困難な問題の連続であると言える。よくもまあ、つぎからつぎへと問題がやってくるものだと思う。だからこそ、この対処法としてプラス発想をしていかねばならないのだろう。ともかく、教師は子どもに対してプラス発想で見ていかねばならない。