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ついに、岡谷小学校の本がでました!!

公開日
2008/02/06
更新日
2008/02/06

志水廣:書籍紹介

2/6 第23位。生きている本である。
2/5 第24位。
2/2 まだ発売していないのに、いきなり第44位です。予約注文だと思う。

2/2 自宅に岡谷小学校の本が届きました。なかなかいいですよ!!岡谷小学校の職員全員がかかわって創った温かさが感じられる。どうやってよい授業を創っていくかが見えてくる本である。


1/28 DVD付】算数科:学ぶ喜びを育む学習の創造
—志水メソッドとの出会い—

志水メソッドを基にした岡谷小学校の取り組みを詳しく紹介。「○付け法」や「意味付け復唱法」、岡谷小学校独自の「本読み計算」など。それは先生方の「わかってほしい」「できるようにしたい」という子どもへの「愛」がつまったものになっている。

ISBN: 978-4-18-581019-7 ジャンル: 算数・数学
刊行: 近日刊行予定 対象: 小学校
仕様: B5 104頁 在庫: 近刊
価格: 2,835円(税込) 出荷予定: 2008/2/4

とにかく、この本はおもしろい。志水メソッドを使いこなした姿がある。また、この本のDVDはかなりお値打ち。なぜ、お値打ちか。まだ、出版されていないので。ここでは、秘密。2/4 もうすぐできあがる。
http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?bango=4%2D18%2D581019%2D7


1/28 更新 矢澤進一校長先生の挨拶
【DVD付】算数科:学ぶ喜びを育む学習の創造

志水 廣・長野県岡谷市立岡谷小学校 編著
ま え が き
志水メソッドの根底と特徴
第Ⅰ章 愛で育てる算数の授業—志水廣先生の講演記録—(冒頭)
第Ⅱ章 ひびき合い,練り上げ,振り返る学びの道筋(冒頭)
第Ⅲ章 子どもの学びを支える教師の授業力(冒頭)
第Ⅳ章 あかしあの丘に立つ学舎(冒頭)
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ま え が き
はじめに
 本校は,諏訪湖を見下ろす「あかしあの丘」と呼ばれる高台にあります。子どもたちは標高差約60メートルの坂道を登らないと教室には入れません。かいだん道,へび道,さくら坂など愛称で呼ばれる通学路を,冬場でもじんわりと汗をかきながら登ってくるのです。この坂を1年間登り続けると富士山を3回登る計算になるのですが,この坂道を登り終わると,そこには,共に学ぶ友だちや自分を待ってくれている先生がいると,胸をふくらませて登ってくるのです。

3つの『め』
 私たちは「お:思いやりのある子,か:考える子,や:やりぬく子」という学校目標を受けた,「個が輝く岡谷小の子」の姿を,個が輝く3つの『め』(①自信を持って『目』をきらきら輝かせながら,学びの主人公として学習に向かう姿,②物事の真理を追究していく『眼』を持っている姿,③伸びている自分の『芽』を実感している姿)に求めて授業研究を進めてきました。

子どもをみることと子どもの声に耳を傾けること
 本校職員は,「やっつけメッセージ(子どもを否定したり,無視したりすること)を追放しよう!」を合い言葉に,子どもをよく見て,子どもの声にしっかりと耳を傾け,「学習の主体は子どもである」「子どもの言葉で授業を創る」ことを実現しようとしてきました。
 先生方は,子どもたちのノートに〇を付けながら「できたね!」「まる!」「オー,なかなかいいぞ!」「なるほどよく考えたね!」「あなたらしい考えだね!」「ここまではできているよ!」…と声を出しながら机間を歩き,「あなたのこと忘れていないからね!」「その考えで授業に安心して参加しよう!」「みんな違ってみんないい」というメッセージを子どもたちに伝えています。
 子どもたちの発言を復唱したり,時には友だち同士を関わらせながら復唱させたりしています。「それってどういうこと」「もう少し説明して」(君の考えていることをもっとしっかり聞きたいな),「そうなんだ」「面白そうだね」(素晴らしいことに気付いたみたいだね),「大事なことを言ったね」(もう一度君の意見を学級のみんなで考えてみよう),「〇〇さんの言ったこともう一度言ってくれる」(みんな一緒に考えるといろんなことがわかるんだなぁ)…と子どもから学び,子どもと学びながら。一人一人の居場所があって,緊張感はあるが安心して学習に取り組み,それぞれの考えの違いや追究の仕方の違いを認めながら,自分の考え方を見つめ直し,友だちと一緒に成長を実感し,やりがいを確かめられる…そんな授業場面にたくさん出会うことができたし,子どもの声を大切にして「広める」「深める」「身に付ける」そんな学習効果のある授業を目指して奮闘する先生方の姿を見ることができました。
 一方,先生方が,子どもたちの発言やノート,表情やしぐさなどから子どもの状況を理解して授業を進めているのはもちろんですが,実は子どもたちも,先生や友だちの表情や声の調子,しぐさ,時には息づかいなどを総合して相手の思いを読み取ろうとしているのです。たとえ低学年であっても,たとえ稚拙に見えても,自分自身の考えを基にしながら人との関わりの中で学習をしているのです。まさに,集団の中で「みんな違ってみんないい」,先生と一緒にみんなで分かること,できることを見つけながら「友だちのいいところを見つけ,友だちのいいところが見つけられるすてきな自分に成長しよう」として学習を深めているのです。だから学習が面白くなるのだと考えます。
 子どもたちがいい顔になる,素敵な表情になる,明るさのある前向きな態度を見せるようになる,少々の困難や緊張感にくじけなくなる…そんな姿を引き出すのは教材研究に裏打ちされた教師自身の良い姿であると思います。そして,先生が「私をよく見ていてくれる」「私の言葉(姿,しぐさも)をよく聞いていてくれる」と感じることで子どもが変わり,子どもが変わることで私たち教師も「元気」と「やる気」をもらい,さらに「本気」になっていくのです。

「ずく」のある集団
 本校では,授業改善を教師の指導力向上にポイントを置いて研修を重ねてきましたが,併せて,日課表の見直し(15分単位のモジュール制)をしたり,毎日15分間取り組む「読書タイム」,本読み計算を中心とした全校一斉のドリル学習「えんぴつタイム」の実践,少人数学習集団による授業づくりなどにも工夫を加えながら取り組んできました。毎年かなりの人数が異動する長野県では,こうした研究の方向を引き継いでいくことが1つの課題ですが,新年度を迎えると「〇付け法」や「意味づけ復唱法」などの研修から始めるのです。
 本校の職員を見ていると,諏訪の方言で言う,実に「ずく」のある(あきらめずにめあてに向かってやり遂げること)先生方の集まりです。年間に1人が何回か授業研究に臨むのですが,その都度シミュレーション授業を試みています。相当負担なのでしょうが,シミュレーション授業をしている時の先生方は実に楽しそうで,真剣で…そんな中から授業研究のエネルギーを生み出しているようです。そんな先生たちの実践を1冊の本としてまとめることができました。

おわりに
 本校の研究を進めるに当たって,長野県教育委員会の指導主事の先生方はじめ,たくさんの先生方のご指導をいただきました。また,同じ授業づくりの方向を目指す全国の先生方との交流もさせていただきました。とりわけ,平成14年度から文部科学省の学力向上フロンティア事業の指定研究を受けてからは,愛知教育大学教授志水廣先生のご指導を一貫して受けて参りました。研究を本にまとめて出版するに当たりご指導いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。

  2008年1月   岡谷市立岡谷小学校長 /矢澤 進一