2月22日(土)13:30より2月 学習講座を実施しました。
- 公開日
- 2025/03/03
- 更新日
- 2025/03/03
社会連携
2月22日(土)13:30~15:30に、201教室において実施しました。
今回は、愛知文教大学の卒業生であり、岐阜県にある私立高校の国語教員のA先生に模擬授業を行っていただきました。都合により、授業者の氏名は匿名とします。
今回は、教員経験者の先生が1名、愛知文教大学の学生が2名、授業者、コーディネーターを含め6名の参加です。コーディネーターは、学び合う学び研究所のフェローである倉知雪春先生です。
高等学校の国語教材「伊勢物語」の「芥川」模擬授業を通して、生徒が意欲的に取り組むことができる授業について学びを深めました。伊勢物語は、在原の業平と目される人物の一代記です。位の高い女性と駆け落ちして、芥川を渡ったところ雷が鳴ったので、近くの小屋に雨宿りをした。そこが鬼の家で、女性が食べられてしまい、主人公が悲嘆するという話です。
第1部 模擬授業の実践
〇 授業者より
〇 模擬授業「芥川」を受ける
- 休 憩 -
第2部 学びの共有
〇 全体で学びを共有する
〇 授業者とコーディネーターからのリフレクション
第1部
○ 模擬授業実践
導入として、「どういう男性がもてますか」を話し合いました。そして、六歌仙である在原の業平の説明がありました。
第1の課題は、「芥川」の4コマの挿絵を見て、話を想像してワークシートに書きました。生徒役は、本文は読んでいません。そして、考えた話を、隣同士で発表し合いました。
1名が考えたのは、「まず、1番は、業平が女性をおぶって橋を渡ろうとしています。2番は、雲から光が川に差して雷が川に落ちそうです。3番は、雷が落ちそうなのを嬉しがっている。そこにいる女性は怯えている。4番は、女の人が鬼に拉致されそうになっています。それを見て、業平は笑っていて楽しそうです。雷雲と共に、鬼が来た。」でした。次にその物語を順番に全員に対して発表をしました。
第2の課題は、古文の文法についてです。
以上で学習は終了して、「芥川」の内容は、次の時間から2時間かけて学習するという予告がありました。
第2部
◯古文が苦手な学生への対応について
A先生より、本日は、ひとりで4コマを作成したが、場合によっては、4人で分担して一人1コマずつ物語を作成して、後から辻褄が合うように調整するという方法を取る場合もある。
◯参加者からの模擬授業の感想
・絵を見て、話を予想するという展開は、だれでもとりかかることができるのではないかと思う。
・教師の説明した内容は、生徒自身が本文から探し出すようにしてはどうか。小学生が「竹取物語」の原文から読み深めることができた授業を見たことがある。
・絵から物語を考えるのは、価値があることである。挿絵から察することの良さを感じた。話の展開が気になって、古文の説明が入ってこなかった。文法をやって正しく読み取ることが大事にされているが、なんとなく分かるという段階もあって良いのではないか。
・音読が大事である。
○A先生から
今後家庭学習で行わせるので、話の展開は、各自の学習で気づくことも考えた。どこで、物語を出すかは迷っている。
○倉知先生から
古文は文法の理解も必要であるが、文学としての楽しさとは違う。文法に重点を置くと、機械的な読みになりがちである。古文のリズムを味わい楽しむことのほうが重要である。
―休憩―
第2部続き
○倉知先生からのお話
・教師になってからの3年間は少経験者にとって大事な時期である。自分が受けてきた授業のイメージから脱却して、自身の固有の教育実践を育てる大切な時期である。同じ関心をもつ仲間や先輩からアドバイスを受け、共に学び合うことが必要である。
・模擬授業は、教える側と学ぶ側の経験を相互に学び合うことができる良い機会である。
・A先生の模擬授業では、絵巻物を導入に使うことで、自由に想像しながら誰もが発言しやすい効果がある。みんなが分からないと、誰でもしゃべりやすくなる。
・「どんな男性がもてる」という発問も思春期の高校生には興味のもてる導入になっていた。緊張感のある教室なら自由に発言ができないが、どんな意見でも聴く姿勢をもっているA先生の教室なら自由に発言ができ、多様な意見が言えそうである。
・授業を受ける側の生徒がどのようなことを考えているかを、教師は常に考える必要がある。スラスラと書ける子もいるし書けない子もいる。その時、どう対応するかが重要。
・A先生の授業構成は、絵巻物を見た段階では表層的な読み取りであっても、更に授業を進めていくと、正しい意味がわかるようになるという授業展開になっている。
・教師が正解を求めるような訊き方をしていると、できない生徒が発言をしなくなる。
・「なぜこれを教えようと思うか」が、教師にはっきり分かっていないと指導が難しい。教科書に載っているという理由だけではない、教材選択の意図が必要である。
・国語は言葉に触れることが重要である。まず対象である文を読み、言葉のイメージを広げることが大事である。
・教えるというよりも、子どもたちの知りたい、聞きたいと思うことを授業で取り上げる。
・教師と子どもの関係は身体的接触を含まない言語と眼差しの公的な関係である。
・良い教室の風景は、自然体で子どもたちがリラックスしている。反対の教室の風景は、権威的で命令的な教師の指示で授業が展開され、子どもが形式的に応答する教室である。
・授業が分からなくて困っていても「分からい」と言えない子どもがいる。それを読み取っている先生であるかどうか。
・どういう教室を作るかというイメージをもつことが必要である。