小中一貫教育スタート
- 公開日
- 2010/07/23
- 更新日
- 2010/07/23
校長室
飛島学園が開校しました —小中一貫教育の可能性—
飛島学園飛島中学校長 位田 学
平成22年4月6日、329名の全校生徒が一堂に会し、記念すべき『飛島学園開校式・入学式』を行いました。県下初の施設一体型公立小中一貫教育校の誕生です。4年間の準備期間を経て、いよいよ本格的に小中一貫教育がスタートしています。
学園は小学校6年間・中学校3年間という現行の6・3制を維持しつつも、生徒の心身の発達や社会の変化に対応するために、小・中が垣根を低くして互いに連携しながら義務教育9年間を一貫した経営方針で教育する小中一貫教育を目指しています。校訓を『確かな未来を拓く』としました。この校訓には、自分自身と自分の所属する社会の『確かな未来を拓く』生徒を育てたいという願いが込められています。
この経営方針の下、本校では、9年間を4年(初等部)—3年(中等部)—2年(高等部)の区分に分けて、それぞれの心身の発達段階に応じた教育活動を行っています。開校から4か月。いろいろな場面で一貫教育の成果の一端が出始めています。
高等部(8・9年生)においては、自らが『学園のリーダーとして下級生のお手本にならなければ』という意識が言動の端々に見られます。例えば、全校朝礼では整然と整列する姿を通して、学園生としてのあるべき姿を示してくれています。また、気持ちのよいあいさつも良きお手本となっており、頼もしい限りです。
中等部は小・中のつなぎ目にあたり、もっとも変化の大きな部分です。学園では、5・6年生を『半中学生扱い』することにより自立を早めようと考えています。これまで6年生は、小学校では最高学年として『お山の大将』的な存在でした。そのため、中学生になるという意識が希薄になりがちで、入学後の中学校生活になかなか適応できない生徒も見られました。しかし、学園では目の前に目標とすべき中学生の姿があるため、これまで以上に学習や生活面で中学生になる準備がスムーズに整えられると考えています。
今年から陸上大会の練習を5年生以上で行っています。ここでも小中一貫の成果は出ています。例えば、長距離走では小学校で一番の生徒でも中学生と一緒に走るとそうはいきません。後方から簡単に抜き去られてしまいます。その子が中学生を目標に走り始めたその時点からその子にとっての新たな自分の限界への挑戦が始まります。また、高跳びやハードルでは、中学生のフォームを間近で見るだけでも大いに参考となります。今年、南ブロックの小学校陸上大会で4種目も1位になったことと無関係ではなさそうです。
学習面では、5・6年生から期末テストを行います。計画的にテスト勉強に取り組むことにより、『学生の本分は勉強である』ことをこの時期から自覚させたいと思っています。本来、勉強はそれ自体が目的でなく、自分の夢を実現させる手段です。従って、学園では学力の定着とともに、生徒の『夢づくり』を支援していきます。その一つが『キャリア教育(生き方学習)』です。中等部の行事として、7〜8月にかけて7年生は職場体験(3日)、6年生は職場訪問(1日)、5年生はものづくり体験(1日)と、3学年が各職場に出かけ体験活動を行います。働くことの意義や喜び・苦労などを体験することにより、一人一人の具体的な夢づくりが始まります。高校入試はその第一関門だと考えています。
元気はつらつの初等部は、4学年が同じユニット(場所)で生活しています。初等部の主役は4年生です。これまで6年生が担当していた縦割り活動の一部を4年生が引き継ぎ、リーダーとして活躍しています。私たち職員は、飛島学園が飛島村の宝でありたいと願っています。今後も、立派な施設だけではなく、生徒一人一人がきらりと光る宝石となれるよう努力してまいります。これまで以上のご支援をお願いします。
—平成22年7月発行「飛学新聞」巻頭あいさつより—