小学校卒業おめでとうございます (校長式辞)
- 公開日
- 2014/03/25
- 更新日
- 2014/03/25
校長室
式 辞
日、一日と暖かな春を感じる頃となりました。本日、飛島村村長久野時男様を始め、多数のご来賓の皆様並びに保護者の皆様のご臨席を得て、「第四回 飛島学園 小学校卒業証書授与式」が挙行できますことを、心からお礼申し上げます。
ありがとうございました。
さて、小学校六年間の課程を修了した三十四名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
四月の始業式に皆さんに出会った時は三十三名でした。三十四人目の六年生、K君にあったのは5月の初め、リハビリのために入院している病院で、車いすにのって、笑顔で私を迎えてくれました。
本当に頑張ったね・・・。本人の頑張り、そして家族の方の思い、そして、離れていても、いつもいつも心配していた皆さんの願い、祈り、励まし、それらすべてが重なり、奇跡的な回復力で二学期から登校でき、今日を迎えることができました。
二学期の終了式の六年生の代表者のスピーチ覚えてます。
「二学期で一番嬉しかったことは、クラス全員がそろったこと」
皆さんの友情の深さを感じました。
また、この一年間どんな場面でも下級生をリードしてくれました。
「大きな声であいさつをしてくれて、気持ちいいね」と地域の人からほめていただくこともありました。
私は知っています。みんなが「あいさつをするよー」って下級生に声をかけてくれ、一番に大きな声であいさつをしてくれることを・・・。
行事はもちろん、日常生活でも、あいさつがんばり隊、スリッパそろえ隊など、どんなことにも前向きに力を合わせて、学校をよくすることに積極的に取り組んでくれました。
皆さんの姿、そして皆さんが築いてくれた良き伝統は,ここにいる下級生に引き継がれます。
卒業する皆さんに、最後のお話をします。
朝礼で、被災をした6年生が高台の神社に避難をして、卒業式で歌うはずだった「旅立ちの日に」を歌い、励ましあって一夜を過ごしたお話をしました。この「旅立ちの日に」を作った歌手 川嶋あいさんのお話です。
あいさんの母親は、体が弱く、あいさんを生んだあとも入院生活を続け、亡くなってしまいました。父親もいなかったので、彼女は生まれた直後から施設に預けられました。その後、施設を訪ねた夫婦に引き取られ、育てられました。
新しいお父さんとお母さんは、本当の両親のように彼女を育ててくれました。しかし、彼女が十歳になった時に、会社を経営していたお父さんも亡くなってしまいます。
残された母親と川嶋さんは経済的に苦労をしました。食べるものも十分にない、そんな状況でもお母さんは彼女が好きな歌を続けられるように、音楽学校に通わせるため、多くの仕事を掛け持ちして深夜まで必死に働きました。
川島さんが、高校生になり、歌手として成功するように、少しでもチャンスの多い、東京で生活を始め、母と子は分かれて生活をすることになりました。音楽事務所に所属しましたが、デビューの機会はなく、事務所もクビになりました。でも、彼女は必死に働き、仕送りをしてくれるお母さんの期待にどうしても答えたくて、必死でオーデションを受け続けます。
しかし、何度受けても何度受けても、彼女が採用されることはありませんでした。
最後の手段として、路上ライブを始めました。でも、だれも立ち止まってくれません。何度歌ってもだれも聞いてくれません。もう母親のもとに帰ろう、泣きながら電話をかけた時、母親は、「1回や2回であきらめてどうするの!」と叱り、それがきっかけで1000回ライブを目指し、少しずつ応援しててくれる人ができ、テレビの主題歌を歌うことも決まりました。
初めて給料が入った時、「もう仕送りはいいよ」って、母親に電話をしたら、母親はものすごく泣いて、「ありがとう」「ごめんね」って繰り返したそうです。彼女も、「ありがとう」と返そうと思ったけど、照れ臭くて何にも言えませんでした。
そのまま電話をきりました。
翌日、母親は急にこの世を去りました。
娘の夢を支えるために、朝から深夜までいくつもの仕事を重ね、働き続けた無理がたたったのでしょう。
川嶋さんは、母親の命日に毎年おこなうコンサートで言います。
「ありがとうを言わなかったこと。今も、いつでも、ただ後悔しています。皆さんは、絶対に親を大切にして下さい。きちんとありがとうを伝えてください」
今日の卒業証書…決して一人のものではありません。だまって皆さんを支えてくれた家族や周りの人がいたから今日の日があるのです。そしてこれからも多くの人に支えられ、生きていくのです。そんな思いにきちんと答えられる人間に育って下さい。
そして、自分が大切にされたように、周りの人を大切にできる、強くて優しい人になってください。
最後になりましたが、保護者の皆様に、お慶びを申し上げます。
お子様のご卒業、誠におめでとうございます。励まし慈しんでお育ていただいた六年間を思い返すと、本当に感慨深いことと存じます。
これまで本学園にいただきましたご厚情に心より感謝いたします。また、今後とも本学園をよろしくお願い申し上げます。
さあ、卒業生の皆さん。新しい旅立ちの時です。胸を張って、笑顔で歩き出していきましょう。
平成二十六年三月二十日
飛島村立小中一貫教育校
飛島学園飛島小学校長 萩野登記代
(第4回卒業証書授与式 校長式辞より)