学園日記

小学校卒業おめでとうございます

公開日
2013/03/25
更新日
2013/03/25

校長室

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 春の優しい日差しを浴び、桜のつぼみもふくらみ始めたこの良き日、飛島村村長久野時男様を始め、多数のご来賓の皆様並びに保護者の皆様のご臨席を得て、「第三回 飛島学園 小学校卒業証書授与式」が挙行できますことを、心からお礼申し上げます。
 ありがとうございました。
 さて、小学校六年間の課程を修了した四十一名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 卒業する皆さんに、昨年、IPS細胞の研究でノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授の言葉を二つ贈ります。
 その一つ目は、「失敗しないと成功はできない」です。
 ノーベル賞をもらった山中先生にも、大きな挫折や失敗がありました。
 山中先生は、中学から続けていた柔道で、何度も骨を折ったことから、大学を卒業後、骨折などのけがを直す整形外科医を目指して、病院で働き始めました。
 しかし、通常二十分で終わるはずの手術に二時間もかかったり、他にもちょっとした失敗が続き、指導を受けている先生に、「お前はほんまに邪魔や。ジャマナカや」とあだ名をつけられたそうです。つらかったと思います。
 しかし、ここで壁にぶつかったことが、医者ではなく研究者に進むきっかけになりました。
 その病院には、何度手術してもよくならないリウマチという病気に苦しむ患者さんがいました。山中先生は、手術で救えないなら、新しい治療法を研究しようと考えたのです。手術が苦手だったということを、研究者への道に進むきっかけとしたのです。
 まさに「失敗しないと成功はできない」でした。

 山中先生の二つ目の言葉は、「苦しいときに、もう一歩だけ前に行くことを考えることが大事」です。
 研究者になるため病院をやめた先生は、大学院に入学して、もう一度勉強を始めました。その後、留学したアメリカで、ついにIPS細胞の研究を始めたのです。
 日本で研究するため、帰国しましたが、
アメリカと日本の環境の違いから、思うように研究ができず、自分の研究が「何か人の役に立っているのかな」と自信がなくなっていきました。やがて悩んでしまい、朝も起きられなくなり、研究をやめる直前までいきました。
 研究をやめかけた時、勤め先を別の大学に変わりました。その時のことをご自身でこんなふうに書いています。
 「一度死にかけたんだから、何か面白い難しいことをやろうと思った。それも良かった。僕の大胆な思いつきにもかかわらず、研究室の人たちが、本当に一生懸命実験をしてくれた。それぞれがたまたま一か所でクロスした。それがなかったら、IPS細胞はいまだに、少なくとも僕のところではできていないと思います。」
 研究が行き詰まっても、決してあきらめず、新しい道を探して進んでいく姿勢。
 まさに、「苦しいときに、もう一歩だけ前に行くことを考えることが大事」です。
 苦しいときに一歩を踏み出すのは、とても難しいことです。一人ではできないかもしれません。でも、仲間となら励まし合って前に踏み出していくことができます。

 卒業生の皆さん。
 皆さんの前には限りない未来が広がっています。自分の夢に向かって、一歩一歩確かに歩んでいくために、地道な努力を続けて下さい。
 山中先生のように、失敗しても、それを成功につなげるチャンスと、とらえていきましょう。皆さんには、一緒に歩いてくれる仲間や皆さんを温かく見守り、背中を優しく押して下さる家族がいます。
 思い通りにならず、もうだめだと思ってしまう時にも、仲間とともに、ほんの一歩だけ夢に向かって踏み出していく勇気を持ちましょう。

 最後になりましたが、保護者の皆様に、お慶びを申し上げます。
 お子様のご卒業、誠におめでとうございます。
 励まし慈しんでお育ていただいた六年間を思い返すと、本当に感慨深いことと存じます。
 これまで本学園にいただきましたご厚情に心より感謝いたします。また、今後とも本学園をよろしくお願い申し上げます。
 さあ、卒業生の皆さん。新しい旅立ちの時です。胸を張って、笑顔で歩き出していきましょう。
         (校長式辞より)
                      平成25年3月19日

                        飛島村立小中一貫教育校
                        飛島学園飛島小学校長
                                  小 野 隆 彦