「One for all All for one 」 〜卒業生に贈る言葉〜
- 公開日
- 2011/03/18
- 更新日
- 2011/03/18
校長室
卒業生の皆さん、小学校ご卒業おめでとうございます。
卒業式で、将来の目標や現在の決意を語る皆さんを見て、大きく伸びようと力を蓄えた若竹のように感じました。心も体も立派に成長しましたね。
そんな皆さんに一つの言葉を贈ります。それは「One for all All for one(ワンフォーオール オールフォーワン)」です。日本語では「一人はみんなのために みんなは一人のために」と言います。
特に寒さの厳しかったこの冬、日本中に広がったタイガーマスク運動は心温まるニュースでした。
いろいろな理由から、家族と離れて生活している子どもたちの施設に、タイガーマスク「伊達直人」という名前で、ランドセルや学用品のプレゼントがあったことを覚えていますね。クリスマスイブに群馬県の前橋市であったことが、日本全国に広がり、何十人という「伊達直人」が、子どもたちの幸せを願ってプレゼントを贈りました。
私が特に感動したのは次のニュースです。
「奈良県天理市にある2歳から18歳までの子どもたちが暮らす児童養護施設天理養徳院でのこと。6歳までの16人が暮らす建物の玄関前に、1月20日の朝、お菓子や絵本、定規などの文房具が置かれ、添えられた手紙にこう書かれていたそうです。『私はここにたくさんの小さい子どもたちがいると聞いてやってまいりました。テレビや新聞などを見て私もやってみたい、役に立ちたいと思って、持ってきました。これからもおガンバリを 伊達直人(タイガーマスク)4人、伊達直子1人、中一2人、小六2人、小五1人』
手紙の文字は、幼さの残る小学校高学年か中一ぐらいの文字だったそうです。お菓子は少し前に施設の中で配られたもの。白い修正液が塗られた定規を裏返すと、施設で暮らす年上の子の名前が透けて見えたそうです。」
他人の分を取ってでもたくさん食べたい年頃の子たちが、自分のお菓子を残しておき、文房具と一緒に小さな子にあげたというのです。この施設の年上の子たちの、小さな子を思う気持ちの何と優しいことでしょう。彼らは自分だけ、自分こそと主張するのではなく、他の人と大切な物を分かち合うような生き方があることを教えてくれました。
まさに、「One for all All for one(ワンフォーオール オールフォーワン)」「一人はみんなのために みんなは一人のために」です。
卒業生の皆さんは小学校の最上級生として、中学生のお兄さんお姉さんと一緒になり、優しい思いや温かな気持ちで様々な活動を推し進めてくれました。
例えば、児童会が中心となったペットボトルキャップの回収運動は、外国の子どもに病気予防のワクチンをプレゼントしたいという思いから始まったものでした。
また、つい先頃の東北関東地方大地震の義援金の募金活動も、辛い経験をされた方たちを励ましたい、何かのお役に立ちたいという思いからのものでした。
毎日の学校生活では、皆さんは通学団の団長として、下級生の安全な登下校のために心配りをしてくれました。また、縦割り清掃では、リーダーとして自らが下級生のお手本となってくれました。6年生が使うトイレのスリッパは、いつ見てもきれいにそろっていました。次の人のことを考えているんだなといつも感心させられました。
皆さんは、友だちを大切にし、お互いに助け合える26人でした。誰かが悲しかったとき一緒に涙を流してくれました。誰かが辛く苦しかったときそっとそばに座っていてくれました。合唱に取り組むときは声と心を合わせて素敵なハーモニーを作り上げました。
でも、初めからそうだったのではありません。多くの人との関わりや出来事を通し、一人一人が心を成長させてきたのです。26人の仲間が共に成長してきたのです。
皆さんには、自分に何がしてもらえるかではなく、自分は何ができるかを考え実行する人になってほしいと思います。皆さんを支えてくれている仲間や家族、地域の方々のために何ができるか、これからじっくり考え、自分の答えを見つけて下さい。 (校長式辞より)
平成23年3月18日
飛島村立小中一貫教育校
飛島学園飛島小学校長
小 野 隆 彦