タイガーマスク(伊達直人)の心
- 公開日
- 2013/01/08
- 更新日
- 2013/01/08
校長室
冬休みが終わり、新しい年になりました。
皆さん、あけましておめでとうございます。
皆さんが、元気に学校にきてくれたことを、先生たちは、とてもうれしく思っています。
冬休みは、楽しかったですか。クリスマスにサンタさんからプレゼントをもらったり、お正月にお年玉をもらったりした人が多かったことでしょう。プレゼントをもらうのは、うれしいものですね。
今日は、プレゼントについてのお話をします。
2年前の冬に、タイガーマスク運動というのが日本全国に広がったのを覚えていますか。タイガーマスク運動とは、次のような内容でした。
2010年12月25日朝、群馬県中央児童相談所の玄関前に新品のランドセル10個が置いてあるのを職員が見つけた。漫画「タイガーマスク」の主人公、伊達直人の名前で「子供たちのために使ってください」とのメッセージが添えられていた。これがきっかけで、匿名による善意の品々を施設や学校に届ける輪が全国に広がった。
実は、このタイガーマスク運動を始めた人が、誰かわかったというのです。
2年前、タイガーマスクの伊達直人として、初めて施設の子どもにランドセルを送った人についてのニュースを紹介します。去年の12月27日のものです。
2010年12月、群馬県内の児童相談所に新品のランドセルが贈られ、「タイガーマスク」運動のきっかけとなったのは、同県在住の30代の男性だった。同県高崎市の児童養護施設「フランシスコの町」の施設長、村田文男さん(76)がこの男性と親交があり昨年(2011年)、「最初の伊達直人だった」と打ち明けられたという。村田さんは「本当にありがたいことだ」と話している。
村田さんによると、男性は九州出身で、両親の生死さえ分からない複雑な家庭環境で育った。ボロボロの靴を履きランドセルすら持つことができず、風呂敷で小学校に通い、通信制の高校を卒業した。現在は東京に本社があるサービス業の会社に勤務し、2年前児童相談所のある前橋市に転勤。昨年から「フランシスコの町」で稲刈りなど行事の手伝いをするようになった。
男性は昨年(2011年)、クリスマスプレゼントを持参して同じ児童相談所を訪れた。その際の職員とのやり取りから、福祉関係者の間では「最初の伊達直人」だと認識されるようになった。男性は村田さんに対し、「子供たちに、自分のような経験をさせたくない」とプレゼントを続ける理由を説明したという。
男性は今年(2012年)も25日朝、サンタクロースがデザインされたクリスマスカードとともに、10万円相当の商品券を児童相談所に届けた。カードにはこう書かれていた。
「全ての子供達に、楽しいクリスマスが訪れることを祈って 全ての子供達に、サンタクロースが現れることを願って 全ての子供達にメリークリスマス 伊達直人」
2年前の最初のカードと同じ筆跡だった。
児童相談所には、さらに、「伊達直人」を名乗る他の人たちからもランドセルやサッカーボールが届けられた。
プレゼントは、児童相談所を通じて「フランシスコの町」など県内の児童養護施設に配られる。村田さんによると、男性は児童相談所に届ける理由について「2年前に善意の輪が広がったことを思い起こしてほしい」と話しているという。
(yahooニュース)
養護施設の子どもたちは、ちゃんとおいしいご飯を食べていますし、きれいな服や文房具を使っています。決して貧乏で惨めな生活をしているわけではありません。
でも、ランドセルや学用品は、ただあればいいのではありません。
飛島学園の皆さんが使っているランドセルや制服、いろいろな学用品は、皆さんのお父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんが、皆さんへの愛を込めて贈ってくださったものです。
タイガーマスク運動では、伊達直人を名乗る誰かが、「君のことを大切に思っているよ。愛しているよ」というメッセージとともに届けたから、そのランドセルがすばらしいプレゼントになり、日本中の人の心を動かす運動になったのだと思います。
現代社会は、物があふれているのに、愛に飢えている人がたくさんいると言われます。
マザー・テレサは、こう言っています。
「本当の飢えは、アフリカやインドのような第三世界にはありません。本当の飢えは、東京やニューヨークにあります。それは、誰にも愛されないという恐ろしい飢えです」
プレゼントは、物を贈るからすばらしいのではなく、贈る相手に対する愛や思いやりの気持ちがこもっているからすばらしいのです。
この冬休み、たくさんの贈り物をもらった皆さんだから、そこに込められている思いについて、考えてみてほしいと思います。
贈り物をもらうだけで終わるのではなく、相手を大切に思う気持ちとかまごころを相手にどのように伝えることができるかを、考えてみてください。
お互いに、物をプレゼントしあいましょうと言っているのではありません。
学校生活の中で、自分が伊達直人になって、どんな思いを友だちや家族、周りの人たちに届けることができるか。その思いを、どんな行動に込めて表していくことができるか。それを考えてみてください。
始まったばかりの新しい一年を、自分の優しさやまごころ、感謝の心などをプレゼントとして周りの人たちに届ける一年にしていきましょう。
(3学期始業式校長式辞より)
飛島学園飛島小学校長 小野 隆彦
飛島学園飛島中学校長 高橋 央樹