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◆長所を作る機会を持つ

公開日
2023/07/17
更新日
2023/07/17

船井幸雄の人間学


◆長所を作る機会を持つ

 ところで,長所伸展法でもう一ついいたいことがあります。子どもの長所が見えないときはどうするかという問題です。そのとき,教師の役目は,子どもに長所をつくってあげる機会を持つということです。例えば,係活動で仕事を持たせるのです。その仕事をまっとうさせて,そこをほめるようにすることです。長所を引き出すような場面の設定こそ,教師がなすべき仕事です。  
 教科指導でもこの手は使えます。例えば,発表することが苦手な子どもがいます。その子どもをいきなり黒板の前で発表させることは冒険です。そこでお勧めなのが二人対話法と呼ばれる方法です。算数の問題を子どもが解きました。それをいきなり発表させず,座席のままで隣の子どもに説明させるのです。説明を受けた子どもは,質問するのです。「この式はどういうことですか」と。5分もあれば,隣どうしでの説明は終わります。つまり,説明することに自信を持たせるのです。それから,発表させるのです。特に発表が苦手な子どもを意識して指名します。その瞬間をとらえて発表がうまくなったことをほめればいいのです。たった5分の訓練で子どもが発表に自信を持つわけです。       
 子どもの長所を見つけること,また長所をつくるような機会を設定することが教師の役目です。