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学ぶ意欲

公開日
2023/08/12
更新日
2023/08/12

船井幸雄の人間学

人間本来学ぶ意欲は持っていると私は考えている。知らないことを知ろうとする、分からないことを分かろうとする気持ちは人間が生まれもったものである。そして、分かったという達成感は人間にとって快感なのである。
最近の脳の研究でも快のホルモンが出るという文を見たことがある。脳生理学者の大木幸介氏によると、「人間や、人間精神にとって最重要な神経はA10神経だ。A10神経は覚醒作用もあるが、主として「快感」を生じ、後で述べるように「創造性」も生じ、人間精神にとって最重要な神経であるのだ。…やる気が快感につながる。…快感が人間精神の原動力になる。…やる気は、脳幹の橋と中脳にあるA6神経とA10神経によって主として駆動され、醸成される。」という。(講談社)
 このことから、次の私の仮説はどうだろう。「世の中の生成発展のために人間は学ぶ必要があるわけだから、学ぶ以上は、創造主は人間にご褒美をやろうということになった。」それが分かる喜びであり、創造したときの快感であろう。
 学ぶことは本来快感だという立場に立てば、競争という概念で教育する必要はなくなると思う。受験競争の結果、大学では無気力な学生が入ってくるということは何という矛盾だろうか。競争が善だとしたのなら、大学生が意欲的であっていいわけだ。ところが現実は逆だ。大学生は、自ら学んでいく姿を示すべきだと思う。