日記

子どもたちができていることを笑顔でほめる姿勢が大切

公開日
2016/06/10
更新日
2016/06/13

仕事

小中一貫校の中学校(7年生から9年生)で授業アドバイスを2日間行ってきました。小規模の学校で少人数授業も積極的に取り入れています。

7年生の音楽は少経験者の授業でした。前半はリコーダー、後半は合唱でした。
リコーダーを忘れてきた子どもがいました。最初の全体練習で何もすることがなくただボーとしているだけです。個別、ペアでの練習と続きますが、机間指導の時にその子どもがすることがないことに気づき、指だけでも動かすように指示しました。子どもはすぐに指示に従いましたが、リコーダーの練習中、何度か集中が切れて手が動かなくなりました。リコーダーなしで指使いをするのはそれほど楽なことではありません。授業者はその子どもが取り組んだ時に頑張っていることを評価するべきだったと思います。この場面に限らず、子どもの活動に対してポジティブな評価をすることはほとんどありませんでした。

ペアで見あってと指示しますが、男子はほとんどペアの方を見ようとはしません。また、互いに「『どこがダメだったよ』と言ってあげてください」とネガティブな評価をするように指示します。言葉を交わしているのはほんの数組なのも仕方がないでしょう。しかし、授業者はOKと評価して先に進みます。そもそも、何を意識して吹くのか、どう吹ければよいのかのポイントや目標がはっきりしません。これまでの時間で話をしたのかもしれませんが、活動前に子どもたちに確認しておく必要があります。

全体での練習では、子どもたちに吹かせながら「そうそう」と声をかけますが、何が上手くできているのかわかりません。列ごとに吹かせたりしますが、何を意識してこの練習方法をするのかまるでわかりません。列ごとに上手くできるが評価したいのでしょうか。しかし、具体的な評価はありません。他の列の子どもはただ、ボーとして休憩の時間になっていましたが、授業者は笛を吹いている列に注目していてよく見ていませんでした。

子どもが発言する場面はほとんどありません。ただ活動の指示があるだけで、ポイントの説明もありません。当然、子どもたちは何を意識していいのかわからないまま、活動をするだけになります。意欲が高まらないのは当然です。すぐに集中が切れてしまいます。

合唱の練習はステージで行います。移動するように指示しますが、子どもたちの動きが遅いことが気になります。授業者はピアノに移動して音を確認しています。その間、子どもの様子を見ていません。しばらくして子どもがまだ移動できていないので、「早く並びなさい」と注意をします。もし、早く並ばせたいのなら、移動をしている時に素早く動いている子どもを「○○さん早いね」とほめて、早い移動を促す必要があります。ちゃんとできている子どもも、注意ばかりを聞くことになります。自分はちゃんとやっているのにと、授業者に対して負の感情をもったり、注意の原因となった子どもを疎ましく思ったりするかもしれません。いずれにしても、あまりうれしいことではありません。

合唱の姿勢について指示をします。全員が指示に従えていないのに声を出させます。指示をしてもできているか確認がありません。確認をして、できていることをほめることを意識してほしいと思います。声を出していない子どもがいてもそのまま歌い続けます。途中でも一度止めて、声を出すように促すことが必要です。子どもたちに今どうあってほしいという姿を伝えることが必要です。その上で、できている子どもをほめることが大切です。できていない子どもが目立ちますが、できている子どもの方が多いのです。その子どもたちが評価されなければ、学級全体の意欲が無くなってしまいます。
子どもたちの姿勢がよくないことを「姿勢をよくしてよー」と途中で指摘しました。ちょっと遅すぎるように思います。指摘しても状況は変わりませんでした。
子どもたちは大きく授業規律を乱すことはしませんが、上手に授業者の隙をついています。ちょっとしたきっかけで授業が崩れる危険性を感じました。

ただ演奏する、歌うだけでは上手くはなりません。子どもたちが上手くなる場面や仕掛けが必要です。この日の活動の流れもはっきりと示されていませんでした。子どもたちは授業者の指示に鼻面を引きずり回されているように見えます。板書は一切なく子どもたちがよりどころにする物がありませんでした。
課題は色々あると思いますが、まず、子どもたちを笑顔でほめることを意識してほしいと思います。時々怒った口調になりますが、それでは逆効果です。子どもができていることをどう評価するかを第一に考えてほしいと思います。授業規律の面だけでなく、音楽の活動も同様です。評価するためには目標が必要です。その目標を達成するためのポイントを明確にすることも必要です。このことを意識するだけで授業はよい方向に変わっていくと思います。

この続きは次回の日記で。