授業観や意識の差が課題として浮かんでくる
- 公開日
- 2022/05/27
- 更新日
- 2022/05/27
仕事
私立の中学校高等学校で、前回お会いできなかった方新人と高校一年の学年主任と懇談を行いました。
この日懇談した新人の方の多くも、自分の母校や以前の勤務校での教育観、授業観から抜け出すことができていませんでした。また、教職経験はあっても、新学習指導要領やこれからの教育の方向性に関する知識が乏しいことと、それにもまして、そういった知識がなくて教壇に立っていることに対して疑問を感じていないことがとても気になりました。当たり前のことですが、常に学び続けることが教師と呼ばれるための最低条件だと思います。学ぶ姿勢を持っていただくことを強く願いました。
技能教科の先生とは、子どもに考えることをさせたいという思いとその実践についてお話をしました。子どもに疑問を持たせようとしているのですが、子どもから疑問が出たところで先生が説明してしまうようです。疑問を持ってもすぐに先生が説明するのでは考えることにつながりません。疑問の答を子どもが見つけるための活動を工夫することが大切です。実技教科ですので、疑問に関連した体験を子どもがしているかもしれません。そういう体験を聞き合うような場面をつくるとよいでしょう。
主体的な探究活動を重視するコースの主任との懇談では、新しいコースであるが故の子どもや保護者の不安が話題になりました。
スポーツで全国トップレベルの子どもがいたりして、得意な分野を持っている子どもが一定数います。少人数集団であることと相まって、互いにけん制し合う空気が漂っているとのことです。教室の緊張感がプレッシャーとなり、一部の子どもがこれからの学校生活に不安を感じているようです。新しい環境に慣れてくれば変わると思いますが、不安を言い合える関係づくりや、上手くいかないこと、苦手なことを共有できる場づくりを意識してほしいと思います。
保護者の不安に関しては、学校や先生を信頼してもらうことが解決の第一歩になると思います。保護者が不安を口にした時に、「大丈夫ですよ」と、まずはどっしりと構えて接することが大切です。その上で、「子どもたちや授業の様子を見に来てください。いつでも大歓迎です」と情報をオープンにする姿勢を見せるだけでも安心してもらえると思います。不安の原因のひとつには新しいコースのため情報が乏しいことがあげられます。子どもたちや授業の様子、先生方の考えを積極的に発信することが大切です。期待が大きいからこそ不安も大きいのです。不安を訴えられる前に、こちらから情報を発信していくことで、信頼を得られると思います。
この日は、たまたま講師の先生の授業が見る機会が多かったのですが、驚くほど古い授業観のものでした。
拡声器を使って大きな音で一方的にしゃべっていたり、子どもを見ずに下を向いて教科書を読んでいたりと、子どもとコミュニケーションをとろうとしない先生が多く見られました。ワークシートで子どもの手が止まっていると個別に教えに行く先生もいます。どうしても先生主体の一方的に教える授業観から抜け出ることができないようです。
グループ活動を取り入れても、子どもたちにかかわる必然性がない課題のため、手遊びして他とかかわらなかったり、雑談したりする子どもが目立ちました。同じ子どもたちでも、授業者が変わればしっかりとかかわる姿が見られます。子どもたちの問題ではなく、グループにする意味がよくわっておらず、グループ活動を活かすための技術がない先生の問題なのです。
こういった先生の意識を変えることが必要です。この学校が目指している方向を何とかして共有することが、喫緊の課題として浮かび上がってきました。
最後に1時間ほど新人の先生全体で話し合う機会がありました。
この学校に赴任してきて感じていることを2グループで話し合ってもらいました。いろいろと疑問や困りごとが出てきたのですが、それを以前からいる先生方に聞いたり相談したりしていないことに驚きました。自分のこれまでの経験と比べて、この学校の服装指導について疑問を持っている方も複数いました。しかし、その疑問をこの学校の他の先生にぶつけようとはしていないのです。生徒の実態に応じて、学校ごとにいろいろな考え方や対応の仕方があります。これまでの少ない経験を絶対視し、似たような学校での勤務経験がある新人同士で共感し、不満を言い合っているだけでは何の解決にもなりません。積極的に他の先生方とかかわり、自分の感じている疑問を素直に伝えることから始めることをお願いしました。
先生の授業観や意識の差が課題として見えてきました。この差をどうやって埋めていくかが今年前半の大きな課題となりそうです。