学習内容の定着
- 公開日
- 2011/06/28
- 更新日
- 2012/05/25
教材研究
子どもたちが学習内容をきちんと理解したからといって、すぐに活用できるわけではありません。2×2が4になることがわかったからといって、九九は言えるようになりません。定着させるための活動が必要になります。
反復練習が有効なものに対しては、授業時間内に時間を設けて練習する。宿題や試験というプレッシャーをかけて家庭学習させる。このようなやり方が一般的です。この場合大切になるのが、子どもたちへの動機づけです。指示されたからやる、やらなければいけないという、ネガティブな動機ではなかなか集中しませんし、定着もしません。いかにして子どもに前向きに取り組ませるかがポイントになります。
そのためには目標や指標を上手に与えることが有効です。九九が何秒で言えるといったやり方です。このとき、何秒で言えるかではなく、何秒で言えたかを計測する方法もあります。いずれにしても、合格したか、何秒だったということだけで評価するのではなく、以前と比べてどれだけ進歩したかを見ることが大切です。たとえ目標に達成しなくても、自分の努力の結果が見えることでやる気を継続させることができます。気をつけてほしいのは、1回だけやって終わってしまはないことです。そのときに結果を出せなくても、再挑戦できるような仕組みをつくってください。そうしないと、できなかった子どもは、達成感を持てないまま、次第にやる気をなくしてしまいます。
また、目標設定をグループに対しておこなうというやり方があります。例えば、グループ全員の九九にかかった時間の合計が何秒といった指標を導入します。こうすることで互いに励ましたり助け合いながら取り組むことができます。このとき、全員が何秒以内というような設定にすると、特定の子だけが達成できないという状況が生じてしまいます。できない子が非難されないような雰囲気づくりが大切になります。それぞれの能力に応じて貢献できるような目標設定を心掛けると有効な方法です。
一方、考え方のように反復練習しにくい、試験などになじみにくいものには、活用して定着するという方法があります。
例えば、資料の見方であれば、資料からわかったことではなく、そのための視点を整理しておきます。そして、別の資料をつかって練習をします。このとき、できるだけ身近な資料を用意すると子どもたちの意欲が増します。
考え方のように抽象度が高いものは、1度や2度練習したからといって定着するようなものではありません。他の課題や、単元でも意図的に活用する場面を作ることが大切です。資料の見方であれば、資料を見る場面があるごとに、子どもたちにその視点を問いかけます。こうして、意識して活用させることで定着を図ります。
教材研究はどうしても、子どもたちに理解させることに目が向きがちですが、学習内容の定着という視点も大切です。定着させるためにどのような活動が必要なのか、逆にこの課題は、どのようなことを定着させるのに有効であるか。このようなことも意識してほしいと思います。