国語の授業で大切にしたい問いかけ
- 公開日
- 2011/12/08
- 更新日
- 2011/12/08
教材研究
国語の授業では明確な答えがないと言われることが多いようです。しかし、子どもたちが勝手に意見を言って、「どれもいいね」で終わっては学びになりません。だから難しいとも言われ、だから面白いとも言われます。国語での問いかけについて考えたいと思います。
国語の授業で考えるよりどころは素材となる本文です。本文に書かれていること正しく読み取り、それをもとに、小説や物語では「気持ち」や「心情」を、評論や説明文では筆者の「意見」や「主張」を考えます。したがって、子どもの考えに対して、常に根拠となる本文の記述を問いかけることが大切になります。「それはどこに書いてある」「本文のどこからそう考えた」と「どこ」で聞くのです。
本文を根拠にするという視点でよくつかわれる指示が、「・・・が書かれているところに線を引きなさい」です。線を引いたところを共有して、そこから、心情や主張を考えるのです。こうすることで、「どこ」の対象を明確にできます。
では、子どもの考えを聞き、どこを根拠にしたかを発表させたあと、どのようにすれば考えが深まり、答が明確になっていくのでしょうか。
根拠とした文が重要な文だと考えるのであれば、その文をもとに考えを深め、広げるとよいでしょう。「この文をもとに考えた人、意見を聞かせて」、「この文からどんなことがわかるか、他の人の考えを聞かせて」と文をもとにつなげます。
発表された考えがねらいにつながると思うのであれば、その考えをもとに、深め、広げるとよいでしょう。「同じように考えた人、どこでそう思ったか聞かせて」と考えをもとにつなげます。どの文が重要なのか、どのような子どもの言葉が出てくればねらいにつながっていくのか、教材研究をしっかりしておく必要があります。
こうしていくことで、本文を根拠に考えを深めていけるので、意見がかみ合い明確になっていきます。
しかし、本文に直接根拠となる記述がないことを問う場合は難しくなります。
たとえば、主人公の気持ちを考えさせたいが、本文に主人公のことが書かれていないような場合です。授業名人の野口芳宏先生は、「書いてあることから書かれていないことを合理的に推論する」とおっしゃっています。
「何があった」「だれがどんなことをした」と書かれている事実をとりあげ、そこを根拠に、「その行動はどういうことだろう」「じゃあ、どんな気持になるだろう」と迫っていくとよいと思います。
ときにあいまいな結論になりやすい国語の授業ですが、常に根拠を本文に求め、そこを起点して話し合い、聞き合うことを大切にして、子どもたちにとって、合理的で明解な結論に達することを目指してください。