とても素敵なハプニング
- 公開日
- 2011/12/13
- 更新日
- 2011/12/13
仕事
昨日は中学校で現職教育に参加してきました。今年度最後の訪問でした。
午前中は校内で授業を参観していたのですが、とても楽しい出来事がありました。社会科の為替の授業で、子どもたちがグループで円高、円安の影響を考えて発表しているときのことです。
あるグループが、車の値段がドル建ていくらになるかをもとに「円高は高く売ることができる」と発表しました。それに対して、女生徒が、「輸入すれば、円で同じじゃん」と意見を返しました。授業者は彼女が何かいいことを言っていると取り上げようとしたのですが、理解できずにちょっと困っている様子です。私は、これはキーとなる発言だと思い、うなずくことで、もう少し頑張ってごらんと彼女にメッセージを送りました。それを見ていた授業者が、突然「今からゲストティーチャーにお願いします」と私にバトンタッチしました。とっさのことに一瞬躊躇しましたが、せっかくの流れを切りたくないと思い、すぐに授業を続けました。
「輸入って言ったけど、どういうこと」
「うーん。戻ってくる時・・・」
もどかしそうです。ドルを円に換えれば一緒だと言いたいのでしょうが、うまく表現できません。
「円って言ってくれたけど、どういうこと」
「円だから同じ・・・」
「うん。いいよ、いいよ」
「じゃ、車を売ったもうけはどうなるのかな」
と全体に問いなおしてみました。
「もうからん」
「もうかる」
・・・
「なるほど、車は誰が買うのかな」
「アメリカ人」
「何で払うの、ドル」
「そうか、ドルで払うんだ。車を売ると何万ドルという金がもらえるんだ」
「そのお金はどうする」
・・・
「アメリカへ行った時、何で買い物する」
「ドル」
「余ったらどうする」
「持って帰る」
「換える」
「換えるんだ。何に換えるの」
「円」
「そうか、円にするんだ」
「じゃあ、車を売ったお金はどうするんだろう」
「円に換える」
「じゃあ、5万ドルのとき、3万2千ドルのときどちらがたくさんもらえるだろう」
「5万ドル」
「なるほど、5万ドルの時、いくらになるか計算してみて」
「えー」
「同じだ」
「どういうこと」
「どちらでも円に直したら同じになる」
「そうだね、円高でも円に直せば一緒だね」
最初に意見を言ってくれた子に、
「そういうことが言いたかったんだよね」
うなずく。
ここで授業者に返しました。授業者は「値段が上がると売れなくなるよね。円高は輸出する人にとってはよくないね」とまとめて授業は終わりました。
うまい対応ができたかはわかりませんが、子どもたちは突然現れた私に臆することなく、真剣に意見をつないでくれました。コの字形の机の配置だったこともよかったのでしょう、子どものつぶやきが拾いやすく、表情から意見があることがよくわかりました。
とてもよい雰囲気なのは、担任の学級経営がよい証拠です。わずか10分ほどのことでしたが、子どもたちの考えで問題を解決できて、とても楽しい時間を共有できました。子どもたちのもつポテンシャルの高さをあらためて肌で感じることができました。
現職教育は、エンカウンターの授業研究でした。この学級も雰囲気がよく、担任が子どもたちをしっかり受容していることが、雰囲気作りの原動力だと感じました。エンカウンターと学び合いの違いを意識して、このような活動をうまく活かすようにアドバイスをさせていただきました。
授業アドバイザーとしてこの学校の研究発表のお手伝いを1年半以上にわたりさせていただきました。子どもたちと先生方から本当にたくさんのことを学ばせていただきました。
最後に授業をさせていただくという素敵なハプニングもあり、とても幸せな気持ちで最終日を終えることができました。子どもたちと先生に感謝です。ありがとうございました。