特定の子どもと関係が悪くなったとき
- 公開日
- 2012/05/18
- 更新日
- 2012/05/18
学級経営あれこれ
教師と子どもの関係はちょっとした行き違いでこじれることがあります。相性が悪いとしか言えないようなこともあります。「あの先生は私のことをわかってくれない」「私のことを嫌っている」と感じたり、「あの子はどうも私に反抗的だ」「私の言葉を素直に聞いてくれない」と感じたりして、ぎくしゃくした関係になってしまうこともよくあります。特定の子どもとの関係が悪くなったとき、どのようにすればよいのでしょうか。
教師が関係改善を意識して今まで以上にかかわろうとすると、かえって反発が強くなることがあります。あせらず、少し距離を置いて、子どものようすを観察してみてください。このとき、子どものよいところを見るように意識してほしいのです。関係が悪いときは教師も無意識のうちに子どもの悪いところを見てしまいます。悪いところを見れば、ますます関係が悪くなります。この負の連鎖を断ち切るのです。距離を置いて、子どもを冷静にみるだけでも、関係は改善してくることが多いように思います。
とはいえ、教師への反発が、周りの迷惑になるような行動や、宿題をしてこないといった形で表れてくればほっておくわけにもいけません。特に他者に迷惑をかける行為はきちんと叱る必要があります(規律を守れなかった子どもの指導参照)。その一方で、第三者の助けを借りることも考えてください。その子どもとの関係が良好な同僚がいれば、事情を話して不満な点を聞いてもらうのです。大切なことは、諭してもらうことではなくその子どもの本音を聞いてもらうことです。第三者に打ち明けることで、気持ちが整理され自然によい方向に向かうこともありますし、不満の原因が教師の思ってもみなかったことだとわかることもあります。また、その子と仲のよい友だちと教師とが良好な関係であれば、その友だちに聞いてもらうように頼んでもよいかもしれません。いずれにしても、その不満の原因に思い当たることがあれば、そのことを子どもにきちんと説明することが必要です。誤解であればきちんと解く必要があります。教師の立場から一方的に話をするのではなく、たとえ子どもの言っていることが理不尽であっても、まずはきちんと受け止めることを忘れないでください。教師の方が大人なのですから。このとき、間に入ってくれた同僚や友だちに同席してもらうのも互いに冷静になるには有効です。
時には保護者に間に入ってもらうことも解決を早めます。保護者に子どもの言い分を聞いてもらうのです。そのことをお願いするのに、教師が自分の立場や都合を前面に押し出し、言い訳じみたことや上から目線で話をしないように注意してください。あくまで、保護者に助けてもらうという姿勢を崩さないことです。お願いする時点で、保護者が子どもから話を聞いていて、一方的に攻撃される可能性もあります。その場合でも、まずは言い分をしっかり聞いて、その上で、冷静に伝えるべきことを伝えてください。子どもにとって一番よい解決を保護者と一緒に考えようとしていることを、まずは理解してもらうようにします。このことを理解していただければ、問題の解決に向かって大きく進むはずです。
教師も人間です。相性のよくない子どももいます。無理して自分一人で解決しようとせず、時にはまわりの人たちに助けてもらうことも大切です。うまくいかなくなった子どもとの人間関係は、あせらずに時間をかけて改善しましょう。