日記

中学校と高等学校の情報交換を考える

公開日
2012/06/04
更新日
2012/06/04

独り言

小中連携が強く言われるようになり、小学校と中学校の情報交換も盛んになっています。また、中学校と高等学校でも連絡会議を持つことは珍しくなくなってきています。ところが、中学校と高等学校の情報交換にはまだまだ壁があるように思います。どういうことかというと、受験があるため、本人にとって不利になる情報はなかなか高等学校側に明らかにされないということです。

たとえば、対人関係に不安があったり、神経症などが原因で集団の中で学習ができない子どもがいます。通常の入学試験では、中学校からの情報がなければそのことには気づくことはできません。学力的に問題がなければまず合格するはずです。しかし、その情報が高等学校側に伝わらないため、進学してからの対応が後手に回ってしまうことがよくあるのです。問題が発生してからあらためて中学校に問い合わせ、はじめて中学校時代の情報が手に入ることが普通です。高等学校では、授業に出席できなければ単位を認められないことが一般的です。中学校とはかなり事情は違います。せっかく入学したのに、結局進路変更を余儀なくさせられることがよくあるのです。

入学試験に不利になる情報を伝えることは、本人の利益を損なうからできないということはよくわかります。また、環境が変わることによって、中学校ではうまく適応できなかった子どもが、問題なく過ごせることもよくあります。しかし、それと同じくらい高等学校でも不適応を起こすことがあります。そのリスクをきちんと本人・保護者と確認し、その上で進路を決定する必要があります。そして、合格したら、本人・保護者に納得してもらった上で、中学校での状況を高等学校に正しく伝えることが大切です。高等学校も引き受けた子どもを大切にすることは中学校と変わりません。互いに信頼し合い情報を交換することが子どものためにも必要なことなのです。

また、これは私の経験ですが、地元の中学校との連絡会で、気になる何人かの子どもの情報を中学校側にうかがったところ、「別に変わったところがない」の一言で終わったことがあります。残念ながら、その内の何人かは後に問題行動がありました。中学校時には本当に何もなかったのかもしれませんが、もう少し情報がもらえれば対処があったかと思わないでもありません。私たちが信頼していただいてなかったのかもしれませんが・・・。

子どもの個人情報の交換は微妙な問題がありますが、正しく伝えあうことが子どもにとってもよい結果をもたらすものだと思います。子どもを大切に思う気持ちに変わりはないはずです。この点で一致している限り信頼関係を築きあえると思います。子どものためにも、中学校と高等学校の壁を失くして、スムーズな情報交換ができるようになってほしいと思います。