日記

子どもの自己有用感を大切にする

公開日
2012/09/11
更新日
2012/09/11

学級経営あれこれ

学級づくりということが昔以上に大切だと言われるようになってきています。学級崩壊という言葉も、当り前のように耳にします。学級担任の一番の仕事は、教室の安全、安心とも言われます。子どもたちが安全に、安心して暮らせるというのは最低限守られなければいけないことです。そのためには学級における規律が大切になります。とはいえ、教師は警察官ではありません。ルールを守れない子どもを叱ったり、罰したりすることが仕事ではありません。いかにして子どもたちが、規律を守ることを大切だと思うようにするかが大切です。
もちろん、学級規律を維持するだけが学級づくりではありません。子どもたちが集団生活の中で学ぶべきことはたくさんあります。昨今のいじめの問題もそうですが、他者を思いやる気持ちを育てることも強く求められます。

学級づくりで大切なことはたくさんあると思いますが、私が意識してほしいと思うことは、子どもたちに自己有用感(自尊感情)をどう持たせるかということです。自分の存在が集団の中で意味をもっていると実感できれば、その集団を壊すような動きはしません。これだけで、学級づくりがうまくいくとは言いませんが、基本となるものだと思います。

子どもが自己有用感を持つ基本は、認められる、ほめられることです。教師が一人ひとりのよいところを見つけ、ほめることから始めることです(一人ひとりのほめる観点を意識する参照)。教師に認められることで、教師の話に聞く耳を持ちます。子どもに「聞きなさい」といくら言っても、教師が自分を認めてくれている、自分の話を受け止めてくれると感じていないと、なかなか聞いてはくれません。学級の規律をつくるためにも大切なことなのです。

教師に認められること以上に大きいのが仲間に認められることです。子どもたちと関係ができてくれば、次は子ども同士が認め合うようにすることです。教師が子どものよいところをほめるだけでなく、「○○さんのやったこと、みんなどう思う?」と子どもたちに投げかけ、子どもから「すごい」「がんばってる」「りっぱ」といった称賛の言葉を引き出すのです。授業中だけでなく、給食、掃除など学校生活のあらゆる場面で子どもたちのよさを見つけるようにすれば、どの子どもにもほめるところが見つかるはずです。こうして、学級の中に一人ひとりの居場所(自分が自己有用感を持てる場所、場面)をつくっていくのです。自分の居場所がある子どもは精神的に安定します。自然に落ち着いた、安定した学級になっていきます。また、よいところを学級全体で共有し認め合うことで、教室によい行動が広がっていきます。

学級づくりに直接関係ないように思われますが、家庭との連携も大きな要素です。家庭に居場所がない子どもは、学校で荒れやすい傾向があります。子どもに対して要求、指示、注意ばかりで、認めることが少ないと家庭に居場所がなくなります。意図的に認める、ほめることが大切です。私は保護者に対して、子どもに「ありがとう」を言うようにお願いします。基本は「あなたがいてくれて、ありがとう」です。いい子だからうれしい、○○だからうれしい、だからありがとうではないのです。無条件に子どもの居場所をつくってほしいのです。その上で、子どものよいところを認め、ほめるのです。
そのためには、学校生活での子どものよいところをできるだけ親に伝えることが必要です。「学級通信」で、具体的に名前をあげてほめる(特定の子どもに偏らない、全員が登場するように配慮する)。一人ひとりのよいところを「通知表」や「いいとこ見つけ」(一人ひとりのよい行動を具体的に記録したもの)で伝える。こういうことも、子どもの自己有用感を高めるために大切なことなのです。

学級づくりを考えるとき、子どもたちに自己有用感を持たせるという視点を持ってほしいと思います。ここに挙げたこと以外にもいろいろな方法があると思います。子どもたち一人ひとりが自己有用感を持ち、自分の居場所を持てる学級を目指してください。