日記

グループ活動の人数

公開日
2012/10/03
更新日
2012/10/04

授業ワンポイントアドバイス

授業にグループ活動を取り入れる先生が増えています。そのときの人数や配置について質問されることもよくあります。これが絶対に正解というものはないと思いますが、私の考えを少し述べたいと思います。

適正な人数を考えるときに、グループ活動で何をねらっているのかが問題だと思います。早く正解を見つけさせるのであれば、各グループに優秀な子どもを分散してその子の意見を聞くのに適切な人数を考えればいいわけです。子どもたちがまわりの助けを借りながら自分の答えを見つけることをねらうのであれば、話はまた変わります。
私は後者の考え方です。そして、グループの子どもたち全員が互いにかかわり合うことを大切にしたいと思います。

「自分の答えを見つける」という視点であれば、発言する、教えることよりも聞くことが大切になります。相手を説得するのではなく、相手の意見を理解し自分の考えを深めることが主となります。説得しようとするとどうしても声が大きくなります。大きな声は全体のテンションを上げることにつながり、落ち着いて話を聞く雰囲気がなくなっていきます。聞くことを大切にするのであれば、子どもたちのテンションが上がらないように注意するべきです。そのためには子ども同士の距離は近い方がよいのです。距離があると、どうしても声が大きくなります。額を寄せ合って、落ち着いて聞き合うためには机が近い方がよいのです。また、困った時に「助けて」「教えて」と聞けることを大切にし、グループの全員がかかわり合えることを意識すると、一人ひとりが他のメンバーと接していることも重要になります。だれにでも、すぐに聞くことができるからです。人数はあまり多くない方がよいのです。
それだけではありません。人数が多くなるとどうしてもグループの中にまた小グループができます。こうなるとグループの全員がかかわり合うことがどんどん難しくなります。子ども同士の人間関係をつくる視点からも、グループ内の誰とでもかかわり合うことは大切にしなければなりません。特定の子どもとだけの関係になることは避けたいところです。小グループになるのなら、最初からそのグループで活動すればいいのです。
実際、6人のグループでの活動を見ると、端の2人と他の4人または両端の3人ずつに分かれて話している場面によく出会います。5人のグループでも端の1人が孤立していることがよくあります。7人以上であれば、3つの小グループに分かれることもあります。
これらのことを考えると人数は4人以下がよいということになります。4人以下であれば、互いの距離が近く、誰もが必ず他の子どもと接しているからです。

もちろん4人でも1人と3人、2人と2人に分かれることはよくあります。1人と3人に分かれている場合、自分1人で考えたいために他の3人とかかわろうとしていない子でも、すぐそばで話し合われているので、その内容は耳に入ってきます。必要があれば、かかわりやすい状態です。また、うまくかかわれなくて1人が孤立しているときでも、話し合っている子どもとの距離が近いので、教師が互いにかかわるように働きかけることがしやすいように思います。
では、2人と2人に分かれる場合はどうでしょう。2人のかかわり合いはつながりが強いので、これを崩して4人のかかわりにするのは難しいものがあります。そこで、あえて男子2人、女子2人で構成して、男子同士、女子同士に分かれやすくするという考えがあります。ここで、男女を市松模様にすると、斜めでつながるので、2人ずつの話が交差してかかわりやすくなります。また、男子同士、女子同士どちらかしかつながっていなくても、目の前を言葉がいきかうので、残りの2人もかかわりやすくなります。また、男女で話し合う機会が増えるので、男子と女子の関係がよくなるというメリットもあります。これは思春期を迎えた中学生や小学校の高学年ではとてもありがたいことです。
一方、3人のグループは1人と2人に分かれた場合、1人がかかわろうとするときに2人の間に割って入ることになります。2人のかかわりは強いものなので、うまくその中に入っていけないことが多いようです。その点4人のグループの場合は、他は3人なので、その中の1人が孤立している子どもとかかわり合い、残りの2人とつないでくれることがよくあります。

色々な意見や考え方があると思いますが、私は以上のような理由で、グループは4人の市松模様での活動を基本とするのがよいと考えています。もちろん、これが絶対的な正解だと主張する気は毛頭ありません。グループ活動で何をねらうかを明確にし、子どもたちのようすをよく観察して、皆さんの学校、授業に最適な人数を見つけていただけたらと思います。