日記

学校の変化と課題

公開日
2013/10/24
更新日
2013/10/26

仕事

一昨日は、中学校で授業アドバイスと授業研究に参加してきました。今年度より訪問している学校です。今回が3度目の訪問で、全体にお話しするのは2回目になります。

1時間かけて学校全体の様子を観察しました。先生方が子どもたちを受容しようという雰囲気が出てきているように感じました。先生方の表情も柔らかくなったように思います。先生方の意識の変化を感じます。最近開かれた学校評議員会でも、その変化が認められたようです。素直な先生が多いように思います。

一方、子どもの発言をしっかり受容しようとするあまり、発表者だけをしっかりと見て、他の子どもを見る余裕のない先生が目立ちます。また、挙手した子ども指名することで授業が進んでいきます。子どもたちにつなごうとする方もいますが、同じ考えの子どもに挙手で確認させたり、発表させたりするだけで、違う考えの子どもや挙手しない子どもにつないで参加させようとしません。結局一部の積極的な子ども、教師とかかわりたい子どもだけで授業が進んでいきます。しかし、子どもたちは参加しなくても困りません。授業者は子どもから自分のねらう答に近いものが出れば、すぐに引き取って説明します。その結果を板書するので、参加していない子どももそれを写せば何も困らないのです。

授業規律でも気になることがあります。指示をして、子どもたちが指示に従うまで待とうとするのですが、待ちきれなくて指示が徹底できないのです。子どもが鉛筆を離していない、顔が上がっていないのに話し始める先生が目立ちます。
また、グループを活用しようとしていますが、何をするかの指示だけで目標や評価がはっきりしません。活動すればいいという活動主義に陥っています。この活動で教科として何を目指しているのか、どのような学力を形成しようとしているのかがシャープになっていません。教師自身がこの目標をしっかり意識できていないのです。当然、子どもたちにわかる形では提示できていませんし、子どもたちが自己評価する基準も明確になっていないのです。
この学校では、伝え合う授業づくりを大切にしようとしていますが、それは手段にすぎません。どのような手段を取るかにかかわらず、どのような学力を形成するかは授業者が明確にしておかなければなりません。手段に目を奪われて、そのことがおざなりになっていません。
とはいえ、先生方が新しいことに挑戦しようとしているのはとても立派なことです。いつも言っていることですが、何かに挑戦する、何かができるようになればより多くの課題が見えてくるのです。それを一つひとつ解決していくことで前に進んでいきます。そのための一歩を踏み出したということです。

予定にはなかったのですが、前回ちょっと厳しい話をした初任者の授業を見せていただきました。授業終了の数分前でしたが、その変化に驚きました。3年生女子の跳び箱の授業でしたが、子どもたちの様子に、違う先生の授業を見ているのかと思ってしましました。子どもたちは互いの演技を見あっています。前回と比べて子ども同士のかかわりが見えます。集合した後、座らせて話をしますが子どもたちの視線が授業者に集まっています。
実技テストが近いようです。授業者が何に注意して演技をしたのかを子どもに確認しています。実技テストに向けてワークシートをどう活用するかを明確に伝えています。この間、子どもたちの集中は途切れません。授業者は夏休みをはさんでわずかな期間に大きく成長していました。
授業後、話を聞く機会があったのですが、「子どもたちと視線が合うようになった」「活動のポイントが何かを明確にして、子ども同士がそのことを意識して互いの活動を見あうようにさせている」といった、意識していることをいくつも話してくれました。今は完璧でなくても、意識して授業に臨んでいれば精度が上がっていきます。この先も成長が期待できます。
課題として、集合の時、ムダなことをしているわけではないが、子どもたちが歩いている。走って集合し、言われる前に整列することを求めてほしいこと。確認の場面で、子どもの発言を全体で共有してほしいこと。ワークシートの活用の説明といった時、子どもが書いていることを例として取り上げるなど、できるだけ具体的にしてほしいことなどを話しました。
また、「2年生で、ほとんどの子どもが協力して準備をしてくれるのだが、一部の子どもがなかなか協力してくれない。どうすればいいのか」という質問をしてくれました。こうすれば絶対うまくいくという方法があるわけでありませんが、子どもたちのかかわり合いを使うことを提案しました。具体的は、よく働いてくれる子どもたちに、「一生懸命やってくれるのはうれしいけれど、あなたたちが頑張るから準備に参加しない子どもが出てきちゃう。その子たちにも仕事をさせてあげて。一緒に準備をするように声をかけてくれないかな」といったことを話すのです。今まで準備しなかった子どもが少しでも手伝えば、「準備を手伝ってくれてありがとう」とほめます。もちろん声をかけてくれた子どもにも後でありがとうと感謝の気持ちを伝えておきます。教師が直接指導して解決するのではなく、子ども同士のかかわりをうまく使って解決するという発想も持つと、指導の幅が広がります。そのようなことを話させていただきました。

授業アドバイスと授業研究については明日以降の日記で。