菊池省三先生と若い先生、学生から刺激を受ける
- 公開日
- 2015/05/11
- 更新日
- 2015/05/11
独り言
今年度第1回の教師力アップセミナーは、菊池道場主宰の菊池省三先生の「豊かなコミュニケーションによりお互いを認め合う学級づくり」と題した講演でした。
講演は菊池学級で育った子どもの姿をまず動画でたくさん見せていただきました。子どもたちが堂々と自己開示できていることが印象的でした。子どもが何を話しても安心、安全な学級がつくられていることがよくわかります。また、子どもの口から「価値語」と言われる言葉がたくさん語られていました。「価値語」とは「自分を見くびらない」「いい意味でバカになれ」「白熱する教室」・・・といった子どもたちに大切してほしい価値観や行動を言葉にしたものです。これが子どもたちに浸透しているのです。「価値語」は、子どもから自然発生的に出てくるものではありません。また、いくら「価値語」を教えても、それが具体的にどうすることなのかわからなければ絵に描いた餅です。菊池先生は子どもをポジティブに評価し「ほめ言葉のシャワー」を浴びせ続けます。教師が自らの行動で具体的に示すことや、子どもたちのよい行動を引き出し即時に価値づけすることが必要です。子どものよい行動を引き出すために、菊池先生は通常の係活動とは異なった係をつくっておられました。例えば、「ダンス係」は子ども同士がダンスバトルをする会を企画運営します。こういった活動が、「価値語」の意味を体感する場と実践する場になっています。
また、気なる子どもへの接し方についてもとても納得のいくお話が聞けました。たとえ一瞬でもよい行動をとった時にほめることや、子ども同士で気になる子どもをよい方向に変えるように働きかけるといったことは、本当にその通りだと思います。
子どもたちの具体的な姿を動画で見せながら語られるので、説得力はとても高く、多くの先生方に指示される理由がよくわかります。具体的にどのようにしているのか、細かいところについてもっと詳しく聞きたかったのですが、時間の関係もあってできなかったことが残念です。多くの著書があるので、それを読みなさいということですね。
たまたまかもしれませんが、動画に登場する子どもたちは、明るく自信にあふれていますがややテンションが高い傾向がありました。相手を「説得」するタイプに感じられます。学級として互いに認め合えるように育っているので問題にはならないのですが、進級や進学で他の学級の子どもと混じった時に、まわりの子どもとどのような関係になるのかちょっと気になりました。相手のことを思いやれる子どもたちなので上手くなじむのかもしれませんが、反発されるかもしれません。こういう学級経営が個人の取り組みではなく、学校全体のものとなってほしいと思います。
教師力アップセミナーの運営のお手伝いに、新たに若手の先生、学生が参加してくれました。特に岐阜聖徳学園の玉置ゼミからは、地元ではない方もたくさん参加してくれました。大学以外の場でも学ぼうという意欲が素晴らしいと思います。玉置ゼミの学生に共通して素晴らしいと感じたのは、人に接する姿勢です。受付では参加者に資料をきちんと両手で笑顔をと共にて渡していました。簡単なことのようですが、なかなかできないことです。研究発表などに出かけても、受付で笑顔に出会えないこともよくあります。また、玉置教授から学生に紹介された時、みな素敵な笑顔で応えてくれました。笑顔の内に素直さを感じます。よい指導者の下、きっと素晴らしい先生として教壇に立つ日がくることでしょう。何年か先に彼らと学校で出会う日がくることを楽しみにしています。
運営の反省会でのセミナーの感想の中に、菊池先生の話術の素晴らしさがありました。若い方は、上手な話術にあこがれる傾向があります。確かに教師として大切なことの一つなのですが、過度にそこを意識しないでほしいと思うのです。ある意味、話術は芸です。子どもたちにうける話をできることは悪いことではありませんが、あくまでも大切なのは何を伝えるか、どんな活動をするかという授業の中身です。話術は数ある授業技術の一つに過ぎないのです。この日の菊池先生のお話しであれば、具体的に子どものどんな行動をどのようにほめればいいのか、子ども同士が認め合うためにはどのような働きかけをすればよいのかです。もちろんこのことも意識してくれているとは思いますが。
玉置ゼミのサイトでは、学生が読書などの日々の学びを発信しています。学生らしい素直な視点に好感が持てます。今回のセミナーでどのようなことを学んだのか、発信が楽しみです。
菊池先生の講演と、若い先生、学生に大いに刺激を受けた一日でした。