「学校の総合マネジメント力の強化に関する調査研究事業」企画審査
- 公開日
- 2015/05/25
- 更新日
- 2015/05/25
仕事
文部科学省の「学校の総合マネジメント力の強化に関する調査研究事業」の企画審査の審査員を務めてきました。
毎年審査員をさせていただいて思うことは、こういった調査研究が広く学校現場に役に立つものであってほしいということです。予算の厳しい中、文部科学省がこのような予算を確保しているのですから当然と言えば当然のことです。審査にあたっては、本当に現場の役に立つ成果が出てくるのか、学校現場が求めているものなのかといったことを強く意識しながら行いました。
こういった場に参加させていただいて勉強になるのは、他の審査員の方の質問やコメントです。それぞれの専門分野や立場からの発言には、私が日ごろ意識できていいなかったり、見落としていたりした視点がたくさんあり、こういった調査研究で何を大切にすべきかを学ぶことができます。
提案書やプレゼン技術の大切さも実感します。細かい資料をたくさん準備されても本当に大切なことが他の情報に紛れてしまいます。相手が知りたいことをコンパクトにまとめることが大切です。提案を審査する立場だとこのことがよくわかります。
これは、授業にも通じることです。高校などで、一方的に説明をし続ける授業に出会うことがあります。できるだけ多くの知識を与えようとしているのでしょうが、子どもたちは消化しきれません。板書を写すことに精一杯です。何が一番大切かを明確にして、そのことを軸にして授業を展開することが必要だと思います。
また、質問に対してズレた答が返ってくることがあります。限られた時間でのやり取りですので、ていねいにキャッチボールができません。質問する側、答える側双方の問題なのですが、こういった短い時間でのコミュニケーションスキルも大切なことがよくわかります。
今回、「学校ファンドの仕組みについての実態把握、効果的な取組についての調査研究」に関する提案も募集されていました。「学校ファンド」については、明確な定義や規定もまだ明確になっていません。しかし、学校にとって新たな教育活動を行うためには、こういったお金を集める仕組みも必要とされるようになってきたということでしょう。一般的にファンドというと、集めた資金を必要とする企業や個人に投資し、投資された側をその資金をもとにビジネスを展開し、投資側はそのビジネスでの利益のリターンを求めるというものです。投資する側、される側双方にリスクとリターンを求めるものです。学校ではお金や物、ボランティア活動などの労働といった投資をビジネスではなく教育活動に使います。そのリターンは子どもたちに対する教育的な成果です。通常のファンドはそのありようが大きく異なると思います。投資側はこの教育的な成果というリターンをどのように受け止め、投資に見合うものがどうかを評価するのでしょうか?こういったことをぜひ知りたいと思います。今回の調査研究事業に期待したいところです。
今回も、審査を通じていろいろなことを考え、学ぶことができました。このようなよい機会をいただけたことに感謝です。