日記

とてもうれしいメール

公開日
2015/05/28
更新日
2015/05/28

独り言

昨日、突然30年ほど前の教え子からメールが届きました。たまたまインターネットで私の動向を知り、連絡をくれたのです。彼は、大学卒業後就職したものの、大学院の夢があきらめきれずその会社を退職し、大学院に入学したそうです。修士課程を終了後別の会社に就職し、6年前にベルギー工場の駐在エンジニアとなり、1年前より、フランスの共同開発ベンチャーで医療機器の開発で活躍しているようです。

うれしかったのは、当時私がよく口にしていた、「俺は君たちの20年後と勝負している」という言葉を覚えていてくれたことです。その頃私は、過去に学んだ知識に頼るだけで今現在学ぼうとしない教師や、子どもたちに対して上から目線の教師に対して強い不満を持っていました。子どもたちは、今は未熟ですが、「後世畏るべし」という言葉もあるように、何年か後に素晴らしい大人に成長する可能性を持っています。自分と同じ歳になった時の彼らに、今の自分が負けていないように学び続けよう。子どもたちを未熟で指導しなければいけない対象ではなく、自分と対等な、いや自分よりも立派な人間となる可能性のある一人の人間として尊重しよう。ともすると、他の教師のように自分に甘く、尊大になりそうになる自身への戒めでした。今から思うと気負い過ぎで恥ずかしいところもありますが、教師として彼らに自分を越えてもらいたいという願いも込めて、そう語っていた記憶があります。

また、当時の数学の授業を「本当に楽しい授業でした」と言ってもらえ、これほどうれしいことはありません。20年後ではありませんでしたが、こうして教え子が活躍していることを知り、そのほんの一部分にでも自分が役に立てたのではないかと思えることは、教師冥利に尽きます。子どもたちの卒業後も「先生面をしたくない」という思いと、関わればきっとしてしまうだろうという思いから、教え子とは距離を置き続けてきましたが、こうした連絡をもらえると、そんなことは忘れてしまいます。
こうした教え子が一人でもいれば、「自分のような者が教師であってよかったのだ」と思えます。とてもうれしいメールでした。