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大事法を知り、実践しよう

公開日
2023/07/12
更新日
2023/07/12

船井幸雄の人間学

大事法を知り、実践しよう


一、大事法とは何か 
 船井幸雄氏の文章から、まず引用します。
 『人でもモノでも大事にすれば集まってきますが、そうでないと逃げていきます。   お金を貯める人は、お金を大事にします。人材を育てるのが上手な人は、人を大事にする人です。植物や動物は大事にすると必ず答えてくれます。機械や道具も大事にすれば長期間使えます。大事にすることは、とんでもない効果を与えてくれるのです。     したがって、人でもモノでも当然大事にしたほうがよいのです。』(「実践経営道場」より(PHP研究所))要するに、「大事にすれば集まってくる」という原理で、これを大事法といいます。
 二 子どもを大事にすること
 教育の世界では、人が関わるのは、子ども、親、同僚ということになります。今回は、子どもを大事にすることを考えてみましょう。
 読者の教師はそんなこと当然のことだと言われるでしょう。
 ところが、何年も教師をやってくると大事法を忘れてしまうのです。というよりは、感覚がマヒしてくるということでしょう。
 教師というのは、いつもいつも「先生、先生」と呼ばれていますからついつい偉くなったような気分でいます。子どもが本当に困った気分になっていても、それが分からないことが多いのです。子どもは先生の言うことを聞かざるをえませんから我慢していることが多いのです。
 船井氏は、小売店で大事法を実践するためには、「お客のいうことを徹底的にきくことである」と述べています。当然のことですが、これが難しいのです。         教育の世界で考えてみますと、大事法は、子どものいうことを徹底して聞くことです。  例えば、1年生の子どもは、教師のところへ「ぼく、昨日遊園地へ行ってきたんだよ」などど教師に報告にきます。これらを全部聞いてやることなのです。私も1年生の担任のときには、午前中はおトイレにもいけなかったほどです。取り合えず聞くことです。   つぎに、授業の中で子どもの多様な発想を聞くことです。この場合は、単に聞くだけではいけません。その子どもの考えを受入れ、つまり認めてどこがいいのかをほめることなのです。多様な発想をさせても結局教師が持つ正解を提示して終わりになるという授業は、一見認めたようで実は認めてていないのです。
 算数科の授業ではそういうのはよくあることです。例えば、算数科では学習のめあてを子どもに考えさせておきながら、教師の期待するものがないと画用紙に予め書いておいたカードで示すことがあります。これではサギです。あの場面を見ると、私はこの教師の姿勢を疑います。子どもに考えさせたら、子どもの言葉で板書するべきです。まとめの場面でも教師が書いたまとめを提示するのも感心しません。
 もし、授業で教師の考える反応がでないときは、素直にあやまるべきです。そうすれば、子どもは教師に対して素直に学習する姿勢になります。 そうすると、大事法というのは、子どもの気持ちになって何を求めているかを考えて、子どもの欲求にしたがいつつ、教師が意図的に指導していくことだと思います。
 何事も素直にならなければ実行できません。
 さらに、大事法の根底には、大事にしたいという気持ちが生まれなければなりません。それは、子どもがいるから私は教えることができ、それが教師の私にとっての喜びであると考えるべきなのです。子どもの存在が私にとってありがたいという気持ちになってこそ、大事にしたいという気持ちが発生します。言い換えれば、子どもに感謝するということです。