三 大事法を教えよう
- 公開日
- 2023/07/12
- 更新日
- 2023/07/12
船井幸雄の人間学
三 大事法を教えよう
子どもを大事にすることとともに、子どもに対して「大事にすること」のよさを教えたいものです。
第一に、生き物を大事にすることです。
動物や植物を大事にするということは、生命を大事にすることにつながります。さらに、万物の霊長類である人間を大事にすることに、教え、実践させるのです。こうすれば、いじめなど考えられなくなります。
偏差値や学歴だけを一番大事にしようとするから社会がゆがみ、子どもの心もゆがんでくるのです。一番の根源は、この世にうまれてきた「いのち」を大事にすることに価値をおくべきなのです。一つの「いのち」は、それなりの役割を持って生まれてきたはずだと考え、お互いが大事にすることによって社会が生成発展するのだという認識が重要です。 また、モノを大事にすれば消費社会から節約社会・リサイクル社会へと転換できます。
四 ある指導主事の話
愛知県の一宮の指導主事から伺った話です。
あるとき、その主事が中学校に勤務していたときの話です。同僚の先生が職員室で電話をしていました。「ああ、忘れ物したのか。それなら、先 生は学校で待っているから、とりにきなさい」と話していました。
この電話を聞いて、その主事の先生は、その教師に対して叱ったそうです。「子どもが学校で忘れ物をしたらどうして届けてやらないのか。届けてやれば、教師の子どもへの思いやりが届くではないか」と。また、「わざわざ届けてくれたことに感謝して、子どもの方は心を入れ換えることになるだろう。ついでに家庭訪問もできるではないか」と。
この話を伺って、私もハッとしました。この主事の先生は子どもを本当に大事にしているのだなと感じました。そこまでつくせる教師というのは素晴らしいと思いました。
ついでに言いますと、この主事が中学校の教師でいた頃、その学校の学力テストは全国でもトップレベルであったそうです。教師が子どもを徹底的に大事にする。子どももそれに応えるという姿がそこに見られます。子どもを大事にしたからこそ成績が向上したわけです。
別に甘やかせとはいっていません。大事にしてほしいということです。