10月18日(土)13:30より第7回10月セミナーを開催しました。
- 公開日
- 2025/10/28
- 更新日
- 2025/10/28
社会連携
10月18日(土)13:30~15:30に、201教室において実施しました。
コーディネーターとして、学び合う学び研究所フェロー木村 芳博先生をお迎えして、小学校の5年国語「説明的文章」の授業を通して「少経験者の実践研究会」をテーマに学び合いました。
今回は、7名の申し込みをいただき、講師を含め8名の方により学び合いを深めました。
セミナースケジュール
◇前半 「学び合う説明文の学び」~ 小学校国語
1. プロローグ
2. 「物語文」と「説明文」
3. 「説明文」の学びの基本
・ 学び方、流れ
・「想像力のスイッチを入れよう」リーディング、キーワード
休 憩 ・ 歓 談
◇後半 授業の実際から学ぶ
1. 「2年目教師の授業実践」
(ア) 授業デザイン、ねらい
(イ) ビデオ視聴
2. リフレクション~全体共有
3. エピローグ
◇前半 「学び合う説明文の学び」~ 小学校国語
1. プロローグ
少経験者を対象としたセミナーの準備をしましたので、多経験者とお見受けする参加者の皆さにはご容赦願います。まずは、物語文と説明文について整理していきます。
2. 「物語文」と「説明文」
「物語文」と「説明文」について、「学習用語・読みの視点・学びの深まり」という視点からお考えいただくとどんな言葉が入りますか。それぞれのグループで話してください。
学習用語 物語文(作者、主人公、内容<場面>、主題)
説明文(筆者、題材、事例<段落>、要旨)
読みの視点 物語文(文章の<内側に入り込んで>読む)
説明文(文章の<外側から観察分析して>読む)
学びの深まり 物語文(心情や情景を<思い描き、読み味わう>読描)
説明文(事象や構成を<発見し捉え、読み解く>読解)
各視点について、各テーブルの意見を共有。
皆さんのご意見をお聞きすると、なるほどなとお聞きしましたが、私の視点では以上のようにまとめてみましたので、参考にしていただきたい。小学生にはこんな視点を押さえておきたいと感じております。
3. 「説明文」の学びの基本
・国語の学びの基本
言葉の意味や関係性に着目して、学びを深めること
学習指導要領では、<説明文教材>は言葉や分節を読み、事象や構成を見つけ、学び得たことを使うとあります。そのことから考え学習の要素を以下の3要素から捉えることができます。①音読:読む/理解 ②発見:解く/思考 ③活用:創る/創作、の3点です。
・ 学び方、流れ
読む(内容を正確に知る)➡解く(工夫や構成を捉える)➡創る(説明的/論理的文章を書く)この流れに沿った単元デザイン例が示されました。
・「想像力のスイッチを入れよう」リーディング、キーワード
実際の授業で使われた教材「想像力のスイッチを入れよう」を通読して、形式段落に分ける。さらに参加者が順番に段落ごとに音読をする。
それでは、キーワードを見つけてみましょう。各テーブルで話してください。
どうですか?そうです。二重括弧『』の部分ですね。
① まずは ➡『まだ 分からないよね』
② 一つ一つに対し➡『事実かな、印象かな』
③ 事実だが ➡『他の見方もないかな』
④ その暗がりに ➡『何がかくれているかな』
- 休 憩 -
◇後半 授業の実際から学ぶ
1. 「2年目の教師による授業実践」
(ア) 授業デザイン、ねらい
ねらいとして「メディアとの関わりについて、自分の考えを広げる」
筆者は「想像力のスイッチ」として、4つの言葉(キーワード)を事例とともに紹介している。本時で提示する資料は、教科書にはない【人里にクマが出た】という報道であり、「実際に『4つのスイッチ』で考えると見え方が変わるか。」という課題に取り組み、筆者の考えを改めて理解し、メディアとの関わりについて考えを広げさせたい。
(イ) ビデオ視聴
20分の視聴をする
2. リフレクション~全体共有
各テーブルで学んだことを聴き合う(10分)
全体で学びを共有する
< ◎コーディネーター木村先生 ●参加者 >
◎ テーブルでの聴き合いから学ばれたことをお話ください。
◎ テーブルでの学びから、忌憚のないご自分の考えをお聞かせください。
● 教科書の4つのキーワードをとおして、新しい教材を読み深めたという点ですばらしい。授業で学んだことを活かすという点で、本日の教材は、テレビ画面を直接見せたのもよかったのではないでしょうか。イラストでは、テレビ画面にクマが写っている時点で胡散臭いということが、子どもたちの意見でも出ています。
● 授業者が木村先生に相談したことで、このような素晴らしい授業が生まれた。単元構成がいいですね。クマの発音について方言を感じました。
● 最後に指名して振り返った二人の子どもついて、これだけの長文がよく書けるなと感じました。特に、「インターネットの使用」に触れ、自分の考えをもちながら、まとめていた発言について感心し、周りの反応にも感動しました。更に、授業者が教材文の16段落を音読させて考えさせる場面がありましたが、2年目の教師がこのような指示や流れを自然にできることに驚きました。
● 授業の最後の振り返りに書いた内容として、最初に男の子が「なぜ、4つの視点を書いたのか」という疑問のようなことを書いている。それを受けて二人目の女の子が「その答えのようなこと」を書いて発表している。最初の男の子が、女の子の発言を聴いて納得できるような関係性が生まれていた。
● 前時までに4つのスイッチを学んだ子どもたち。これで終わっていたのでは、学びの深まりが生まれていかない。今回の授業の意味を感じました。
● 説明文で学んだことを、別の場面で学ぶことが素晴らしい。しかし、本日の教材では、メディアの伝えていることと、それを聞いた視聴者のつぶやきが一緒に示されている。ここに違和感がありました。また、授業の後半で、教師が最後の一文を音読させて、「どうだった」と聞いたとき、ある子どもが「わからん」とつぶやいていました。あの時の指示、グループワークの中で、授業者はこの教室には「分からん子ども」がいるということを理解していて欲しい。音読前の教師の問いと違った捉えをしている子どもがいることをビデオ視聴から学びました。
◎ この後、担任はすべての子どもの振り返りを冊子にまとめ印刷して共有している。「考えが変わっている子ども」や「十分には分かっていない子ども」の様子について、子ども同士も学び合えたのではないかと思います。
● 今回の授業の単元デザインについて、①音読:読む/理解 ②発見:解く/思考 ③活用:創る/創作の過程が実に有効であった。これは、学校として作り上げたものか。木村先生の指導か…。ただ、最後の振り返りの発表場面で指名した二人が、優等生的な発言をしており、率直に面白くなかった。もっと、素朴な感想や多様な考えが交流できる面白さも期待したかった。
3. エピローグ
説明的な文章を通して 育てたい学びの心
〇 知的理解 ~新しい事柄を知る~
〇 知的感動 ~未知の不思議に引きつけられる~
〇 知的好奇心 ~隠れた事実や示された意見に触発される~
こうしたことを学んでいってほしいな感じています。
今回の授業では知的理解と知的好奇心まではいけていたように感じます。
最後に、本授業での、ある子どもの振り返りを紹介します。
【ニュースなどで情報を得た時に、そのニュースの情報だけをうのみにするのではなく、他のニュースなどを見て、その全部の情報から、自分の考える力で自分なりの答えを出す。】
こうした振り返りが書けるような、子どもを学びの中心に据えた、学び合う学びの授業づくりを進めていきたいと思います。
参加された方からの振り返りを紹介します。
◆授業ビデオを拝見する前に、説明文の授業で大事にする点を示していただいたので、視点をもってビデオを拝聴することができた。実践者は2年目の先生だというが、チャレンジした内容だった。ある意味で単元の中の本時の内容が「ジャンプ課題」だった気がする。子どもたちも「スイッチ」を意識して考えていたと思う。セミナーの参加者が少なかったが、中身の濃い意見交流ができたのはよかった。