大学日記

8月1日(土)13:30より第5回セミナーを実施しました。

公開日
2026/09/01
更新日
2026/09/01

社会連携

8月1日(土) 13:30~15:30に、201教室において実施しました。

 コメンテーターとして当研究所事務長の永井勝彦先生をお迎えし、春日井市立中部中学校 海元大輔先生の1年数学「図形の移動」の授業を通して「ケアのある関係性に支えられる学び合いとは」をテーマに行いました。

 今回は、17名の申し込みをいただき、講師を含め19名の方により学び合いを深めることができました。


本日の予定

第1部 授業に学ぶ

 1.授業提案 1年数学「図形の移動」海元先生より

 2.ビデオ視聴 

 3.グループ共有 

   - 休憩 -

第2部 リフレクション、知多中学校の学校づくりに学ぶ

 4.参加者のリフレクション

 5.コメンテーター・授業者の振り返り


第1部 学校づくり・授業に学ぶ

< ◎ファシリテーター永井先生 ●参加者 〇海元先生 >

◎ それでは皆さん、時間になりましたのではじめさせていただきます。今日は、夏休み中の休日に、また、こんな暑い中を、わざわざお集まりいただきましてありがとうございます。第5回、8月セミナーを始めます。

 本日は、春日井市中部中学校の海元大輔先生をお迎えしました。昨年の11月に知多中学校の公開研究会で提案授業として数学の授業をされました。その授業に学びたいと思います。よろしくお願いします。

 最初に、海元先生から、この授業のねらいや普段心がけておられることをお話しいただきます。


1.授業提案 1年数学「図形の移動」海元先生より

〇 みなさん、こんにちは。本日は、ご参加いただいた皆さんから、たくさん学ばせていただけたらと思いますので、よろしくお願いします。

 授業プリントの方をご覧ください。授業プリントは、平面図形の2節「図形の移動」という紙面です。図形の移動には対象移動、平行移動、回転移動の3種類があるのでが、それぞれを一時間ずつ学習した上で、この課題は「茶色の三角形、この三角形をすべての場所に移動させるにはどういう移動を使えばいいか」を子どもたち同士で説明させるというのが共有課題です。ジャンプ課題もやることは一緒で、「緑の三角形をいろんなところに移動させます」、それを今まで学習した対象移動、回帰移動、平行移動、そういう単語を使いながら、子どもたちが説明をしていく授業の設計になります。昨年度まで、知多中で勤務しており、 2学期からこの形、共有課題からジャンル課題という形で授業させてもらっています。自分の思いとしては、とても学力差が大きいクラスだったので、数学が苦手な子が、少しでも一時間の中で学びがあるようにとの思いでやらせてもらいました。そうすると、今度は学力の高い子たちがなかなか学びを得られずに終わってしまうのを、課題として感じていたところです。そうした中で、教務主任として一緒にやらせていただいた落合先生とお話する中で、今回、見ていただくような形の授業はどうかということになり、やってみました。共有課題を全体でやって、その後、全員でジャンプ課題に挑戦するという授業のスタイルを取り入れてみました。

 昨年のある授業でジャンプ課題に取り組んでいるときに、こんなことがありました。数学が苦手な生徒が発言した「一言」を聴いた、数学の得意な生徒が「なるほど、そういうことか」といった瞬間がありました。そこで、私自身の授業づくりに大きな変化が生まれました。それから、この学び合いの形が「もしかしたら、いけるんじゃないか?」と思えてきました。この形でやらせてもらい一年間、すごく拙い授業ではありますが、皆さんからたくさんのご助言をいただけたらなと思います。今日、1日よろしくお願いします。

◎ それでは、授業を見ていただきます。


2.ビデオ視聴


3.グループ共有 

◎ ご覧いただいた授業から学ばれた内容について、グループで聴き合っていただけますでしょうか。

   - 休憩 -


第2部 リフレクション、知多中学校の学校づくりに学ぶ

4.参加者のリフレクション

< ◎ファシリテーター永井先生 ●参加者 〇海元先生 >

◎ それでは、グループでの聴き合いから学ばれたことをお話ください。

● ありがとうございました。自分も数学なので、子どもたちは、数学って答えが一つで、わかる、わかんない、となりがちなところですが、「説明をしよう」というところで、その移動の仕方について、説明の仕方が何通りもあります。生徒は、具体物の小さい三角形を手元で動かしながら活動したことで、誰も落ちない。みんなが何かしら考えているっていうところがすごいなと思いました。さっきもグループで話している時に聞かせてもらったのが、本当に最後の218番、その218番の子が回転移動で気づいたところから、また一気に自分としての学びが深まったというか、上の子たちに「えっ、どんなことを」ってなった瞬間があって、そこで、さらに生徒自身で「こうかな」と言ったところで、これを海元先生に「本当に、ここをゴールに授業を考えたんですか」と聞いてしまいました。そしたら、そこまで行けたらいいなって思っていたけど、そこまで行かずに2段階で終わったクラスもあったっていう話を聞きました。そこで気づいたことが、海元先生が、十分理解できていない子を見つけて、その子が自分の言葉で言うことができていたところがあったからこそ、最初に言ったことと組み合わせてやることから、さらにもう一歩進んだなと思って、自分も「すごい、うおおっ」と感動しました。ありがとうございます。

◎ ありがとうございました。すみません、217番のMHさんについて、先ほど海元先生に「よくできる子ですか」って聞いたら、決してそうではないとことでした。そういう子が、全体の場であのような「おもしろい発想」をする。素晴らしい授業だと思います。

 その辺について、後ほど海元先生の方からお話をしていただきます。じゃあ、 Bグループをお願いします。

● 手元に、同じ図形プリントがあり、具体物である三角を自分の手元で移動しながら考えてっていうのがとてもいいなと思いました。自分の時間を作るっていうことができるから、活動が保障されている必要があるなと思いながら、反面、グループ全員が共有できるような、ちょっと大きなワークシートがあったらいいのではという案が出てきました。そういう仕掛けをたくさん先生がこれからすることによって、そういうものが欲しいと子供から発言が出てくると最高だよねという意見を聞き、そうだなと思っています。生徒自身の声を大切にする必要があるため、「あれが欲しい、これが欲しい」と先生が与えるんじゃなくて、子どもたちから出てくる。そんな授業ができる可能性を秘めていたと感じました。先生が本当にグループに委ねていらっしゃって、なんていうか、子どもたちの考えている力に寄り添って、教師から全部を出しすぎず、最後の最後まで、気づきを導いたところが素晴らしいなと思いました。TOくんが、カメラ目線で思考が止まっているように考えてない瞬間が見られたのですが、ジャンプ課題により、自信満々に嬉しそうにする姿に、私は個人的にとても嬉しい気持ちになりました。本当に集中している生徒の姿が非常に素晴らしいと思いました。

◎ TOくんは、途中ですごい発言「嫌だ」とか「もういい」とか言っていますよね。そんな子が最後のページの6ページのところでは、グループの友だちと顔を近づけながら、「これ全部できるぞ。よし、終わった」と言っていましたね。この物語はすごいなと思いますね。次のグループお願いします。

● 今日のテーマは「ケアのある関係性に支えられる学び合いとは」ということで、ケアはどういうふうになっているのかなと思って、自分が注目したのは2班です。えっと、 SS2さんとKNさんですが、 SS2さんはNKとKNさんはOHさんを本当に支えていると感じました。さっき海元先生にお聞きしたら、この男の子2人は学力があまり高くない子です。やっぱそうだなと思って。でも、 2ページの70番ですね。SS2さんはNKと、記録には残ってないのですけど、 KNさんとかOHさんを本当に支えていて、足場掛けとして、「つまりどこ」というように、なんか教えているんじゃなくて、確認して、「これ分かっているの」とか、「どうなの」とか、「どこまで分かっているの」という、そういうケアがずっとされていた。 70番から87番までずっとケアしていて、多分、撮影者のカメラが、ずっと支えられている様子を撮っているだろうなと思っていました。105番、 106番のところもSS2さんとNKさんの関わりで、ジャンプをやっていたとき、どうなったのだろうなと思って、 4ページの130番から135番ここでもまた支えられている。だけど、 OHくんとNKくんも「平行じゃない」と発言しているのです。ここが、一方的に言われているわけではなくて、支えられたことによって、自らも発言していく姿がある。 5ページの175 、 176はOHとNKと多分、自分の言葉で、「90度とか30度とか、これ同じ感じでできているよ」とか、「3番ちょっと待っていて」ということがずっと続いている。多分、授業最後にずっとこの人たちは考え続けていたと思います。これは、何故かなと思った時に、やっぱりこのグループの中でも提案の関係とか支えている関係があったからこそ、ジャンプの課題も生き生きをさせたと思った。13番のところで先生がOHを指名しています。海元先生にお聞きしたのですが、「OHをどこかで当てようと思っていた」とおっしゃっていました。ここの学年はやっぱり先生の思いとか意図があって、されているのが分かります。OHへの指名は、合同がわかっていないけど、発言の機会を保障する。グループで確認してケアされているから、OHにもう一回戻して聞いてあげて、この子が自信を持ってこの授業でスタートできるっていう、先生の「思い」があったんだろうなと感じます。はい。本当に、私自身はこの問題が全然わからなくて、いまだにこの1番から12番ってどうやって移動するかよくわからないのですが、いい学びができました。ありがとうございました。

◎ 今、丹羽先生がおっしゃったとおりで、皆さんも気づかれたとおい、すごいケアがあったと思います。特にジャンプになってから、ジャンプになってからの彼らの学び方が随分変わったなと感じます。学力差が随分ある教室ですが、課題の質によって、同じ分からなさを抱えているような様子を感じます。

それではDグループお願いします。

● ありがとうございます。今回この授業で学んだことは、まず私自身が結構、授業前に準備したものを、全て予定通り使ってしまうという癖がありまして、今、特に海元先生とお話しさせていただいて、僕は結構、「ICTを使わなきゃ、使わなきゃ」と思ってしまって、すぐアプリを最初使ってしまっているなと思うのです。しかし、今回の授業では最初は紙の上で図形を動かしながら、自分たちで考え苦労をする経験があるから、デジタルの移動に触れることで理解しやすくなると思いました。僕もそういうところを狙いたいなって思いました。もう一点が、この共有課題とジャンプ課題のつなぎ方なのですけれども、 120のところで答え合わせをせずにジャンプ課題に移りました。先ほどの海元先生が聞いて、おっしゃっていたのですが、「このジャンプ課題で時間取りたい」と言ってみえて、僕もジャンプ課題にすごい時間取りたいなって思っています。共有課題である程度立ち上げるようにして、僕は答え合わせしたくなります。ところが、今日の授業のように、思いっきりもたまには大事なのかなということを、すごいと思いました。

◎ ありがとうございました。では、 Eグループお願いします。

● 授業ありがとうございました。見ていて感じたのは、本当に海元先生の思い、子どもを一人にしない授業、目指しているものが現れていた授業だなというふうに思いました。今、本当に自分たちは知多中学校で4ヶ月間子どもたちを教えているときに、社会しか見てないんですけど、数学とかでも2班のOAさん、 MKさん、4班のTOくん、 6班のAIさんは、結構、学びに向かうまでが難しい、自分の授業でも苦戦しているのが現状ですが、その子たちがすごく前向きに、グループワークで、「ここってこうなの」という風にすごく付き合ったりしている雰囲気っていうのがすごい。数学って多分、本来、苦手な生徒にとっては苦痛だと思うんです。それをなんか、数学じゃないみたいな、ゲーム感覚として楽しんでいる姿を見えて、本当に海元先生の思い、それと子供を一人しない授業っていうのは、本当に雰囲気がいい授業だなと感じています。数学的な感覚は全然見えてこなかったので、わからないのですけど、そういう風にこの授業を見てみました。ありがとうございました。

◎ すべてのグループから発言していただきました。二回り目にいきましょう。どんなところからでも結構です。グループから出た発言を受けて、もしくは、まったく違う視点で喋っていただいても構いません。皆さんの表情を見ていると、話したいという顔が見えますね、どうぞ。

● ここのグループで今、ケアする関係っていうのは、十分にあって見ることができ、先ほどの発言の通りだなと思っています。そこの中でただ、モヤモヤしている生徒が何人かいるなと感じます。あの子たちのモヤモヤをどうしてあげたらいいのかな。これだけケアができているのですから。そうすると、このケアできる環境の中でモヤモヤ感を取ってあげるとさらにいいのではないかという話をしていました。先ほどDグループの先生が共有課題からジャンプ課題に移る時の大切さが必要だと言われました。共有課題を丁寧にやりながら、ジャンプ課題に移ることも一つだし、このグループでは、意外とあっさりと移っていたと話をしていました。良い悪いではなく、この問題っていうのは、多分数学の得意な子苦手な子の差が出にくいところかなって思っています。それは新聞の間違い探しの逆なので、ピッタコゲームなのですよね。といった時に多分、「点Aを中心に回すと」言ったのは偶然ではじゃなくて、彼は頭の中で平行四辺形ABCDをイメージして、それは、点Aを軸に回していくということです。そうすると、この絵を見たときに、「これは三角形のBCHを回すのか」、それともまとまりとして考えて、「三角形のBCOを回していく」それから対象の軸が出てくるので、「対象の軸で移していくのか」だから平行移動、平行が例えば「ABとFCが平行なので移していくのか」ということが、数学的に「見方、考え方」の部分ですし、海元先生が授業の最初に押さえていただいた、対象移動、低対象移動、平行移動、これがやっぱり基礎になる。そうすると、例えば(2)のところでピンクの三角形BCIで、軸で分割して考える考え方と平行四辺形DCIAという統合したものを移していくという考え方があります。例えば、そこでその考え方が共有できれば、この共有課題が多分良かったのかなと思います。そうするとジャンプ課題に移ったときに、もっと本質的に、「数学で分割をしてものを見る見方」それから「まとめて捉える考え方」がもっともっと出てくるので、特に数学が苦手な子については「やった!」っていう感覚になれるすごくいい課題だなっていうことを学ばせていただきました。今日学んだのは、共有課題からジャンプ課題へどの程度共有の時間を取るかということよりも、何を共有課題で共有をさせるのか。ここをやっぱり大切にしないといけないのかなっていうことを学びました。

 明日、いや夏休みでした。学校へ行ったら、数学で共有をして遊びたいと思います。とてもいい授業でした。

◎ さすが、小牧を代表する数学の大先生です。そういう発言を聴いて、いかがですか。

● 僕もこの授業は当日拝見しました。あの時はビデオ撮影禁止だったですよね。だから、僕ずっと4班に張り付きで見ていて、TOくんばっかり見ていたのですけど。でも彼はこの一時間ですごく成長しているなという記憶にあります。今日、改めて映像で見ると、あの時気づかなかったところがいろいろ浮かんできました。さっき話題に出てきた共有からジャンプへの移り方、普通、共有課題の後半で一回切って、共有のことを軽くまとめる。あるいは、答え合わせという言葉が出たりして、次に行っていくのがよくあるパターンなのだと思います。今回は、ざーっと見て、ある程度できていると判断し、ジャンプに持って行っちゃう。「多分ジャンプをやりながら共有の答え合わせができちゃうだろう」という判断だったと見ていて思いました。前半すごく話題になっていたSS2さんとNKさんとか、 KNとOSさんというベタ付きで片方がミニ先生になって教えているっていう場面。もちろん教えているというよりも、確認しているとCグループで指摘してくれたんですけど、ここはやっぱりどうしても教える側、教えられる側に分かれがちなところが、ジャンプになったら、この教えられていたNKくんやOHくんが前向きな発言をしているというところは、やっぱり本当にジャンプ課題っていうのは対等な関係性に持っていけるのだなというのが、見事に記録としてここに残っていると思いました。

 こういう効果があることを信じて、ジャンプ課題に持っていかないと、授業の組み立ては難しいと思いました。あと今日、知多中学校の先生方がたくさんいるので、さっきこの中でも話していたのですけど、今の知多中学校だったら、「アプリもっと早く出すじゃないの」という話をしました。やっぱり春日井市すごくICTに力を入れているので、みんなもう最初からタブレットを手に持っていて、授業の前半からタブレットを使って何かを進めていくというパターンが多い中、今回、大半がアナログで進み、最後の最後にアプリが出てきた。僕から見ると、知多中学校らしくない展開になったのですけど、でも、僕はすごく良かったなと思います。アナログで一生懸命、試行錯誤したからこそ、簡単に回転ができるアプリが登場した時に、偶然できたようになって、頭の中で考えたことが視覚的に実現できたっていう、そういう理解につながっていたかな。すごくいいタイミングで出されたなというのを、本番の時も思ったのですけど、やっぱり映像を見ていてもそう感じました。 ICTありきじゃなくて、ここぞというところで使うっていう、ああいう使い方ができる先生ってすごいなと思っていました。

◎ ありがとうございました。知多中学校OBが参加して見えます。今、小学校で2年生に学び合いを一生懸命に仕込んでいます。そういう視点から今日の授業はいかがでしたか。

● 私もこれ当日、見に行きたかったのですけど、行けなかったので本日参加しました。授業から学んだことは、一人が気づいたことによって、班で話が進んでいくし、クラスの話が進んでいくのがすごいいいなと思ったのと、「わかんない」と言えていた2班でしたよね。多分、普段からこう言えている関係があるから、グループワークがすごく進んでいくのだなと思いました。逆に7班の外国籍の子の班は、たまたまお休みだったかな、男の子2人で話が進んでいて、SJさんが取り残されていていることに、海元先生が気づいて寄っていくのがすごく良かったなと思います。SJさんはどこまで授業が理解できるのかも気になったこと、「わからない」とSJさんが言えればあの班もよくなると思います。今まで知多中学校でグループやって、現在、小学校へ異動し全く授業スタイルが変わって苦労し、毎日過ごしています。たまに知多中の授業を見に行かせてもらって、「こうやってやったらいいんだな」と学んでいます。

◎ はい、ありがとうございました。最後にしたいと思いますが、こうした授業を、知多中の先生とともに悩み、指導する立場の教務主任が参加していただいています。どんなことを考えてみえますか。

● はい、立派に成長された姿に感動しています。海元先生が初任として赴任し、僕も教務の初任からずっと一緒にやってきて、本日ご覧になった授業が知多中の学びにつながっていることが、今、実感できます。

今回、改めて見させてもらって学んだこと。彼はどっちかというと、これまで強くリードしていくタイプの先生だという印象だったのです。声も割と大きくて、「みんな俺についてこい」というタイプだったのが、今回の1年生というのは、本当にとても授業ができる状態ではなく、今、生徒指導担当の方も参加してもらっていますが、「いったい、これどうなるんだろう」という中でのスタートでした。多分、彼はどうしたらいいのかをすごく考える中で、子供たちの下に入っていくようなイメージかと感じました。「すごい柔らかくなって」、「子供たちに任せながら見守る」タイプに変容していきました。永井先生に、「知多中の代表として、海元先生にやってもらおうと思います」ということで、彼を提案授業者として選びました。今日この授業を見ていて思ったのは、本当に子どもたちが考える中で、ちょっとリードしてあげたり、一緒に考える立場になったりというのをすごく意識して、子どもたちを支えながら学ぶ授業になっていることに改めて気づきまして、僕は、最近無理やり授業をやっている感があったので、子どもたちを支えながら、考えながら、やっていうことを思います。こうしたことが、私の学びです。


5.コメンテーター・授業者の振り返り

◎ それでは、最後に私がこの授業で学んだことをお話します。今まで発言していただいた先生方は、授業を詳細に語っていただきました、私も同じように感じました。まず、教科の本質があると思います。「見方、考え方」というものが、きちんと子供たちがつかめる。特にジャンプ課題の中に、模様のような美しい規則性がありますが、どう見つけていくのかっていうのがね、本質じゃないのかなと思います。それがデザインされています。子供たちが「ああっ、やってみよう」と思える、情動を揺さぶるジャンプ課題になっています。課題がいいので夢中な学びになります。TOくんが、ジャンプ課題が出た時に「うっとうしい」と言いながらやりはじめる。すごいなと思います。 1人ひとりが学びの主体になれるよう考えられている。だから、入学時に非常に厳しい状況だった大変なクラス、学年が安心して学ぶために、海元先生が工夫をされたというのがよくわかります。一人一人の生徒の様子を見取って、そして学びの環境を柔軟に再デザインしている。先ほど発言に合ったとおり、共有課題からジャンプ課題に移る場面、突然、潔く行ってしまった。きっと最初からそうしようと思ってなくて、生徒の様子から判断して、ここで行こうと決断した、再デザインがあったと感じます。そして、「わからない」という問いを丁寧に扱いながら、ケアのある関係の中で学びを獲得している。そして、この先ほど出たアプリですね、アプリの使いどころが、適切に考えられています。今日、自分が本当にこの授業の中で学んだのが、本日のテーマになっている「ケアのある関係性に支えられる学び合い」の部分を丁寧に見ていきたいと思います。

 実はこの学校の4年前の6月の様子です。授業中に伏せている子がいました。あっちにもこんな子がいます。勉強しているようなふりして、どんどんどんどん落ちていっていく子で一杯でした。この学校は、こういった子をなくしていこうというのが授業研究のスタートになりました。

 例えば、2班のSS2がNKにたいしてお母さんのように関わります。SS2は、言葉を選ぶために考えます。つまりNKにどう教えたらいいのかということを一生懸命考えている。そうするとNKは案の定「わからん」と言ってきます。そうすると「これは一やん」といきなり口調までが変わり、NKは「ああそうか」とわかってくれる。こういった関係の中には「NKのわからなさからの解放された感覚」と、「SS2には、自分自身も成長しているという感覚」があると思います。さらに、ここに突然、海元先生が現れ、 NKに「続きを考えよう」と告げます。するとNKは口調を強くし「えーっと」と言い、自分の言葉で説明する。それを聴き、海元先生は「うわ、いいじゃん、いいじゃん、いいじゃん」って3回も言っている。わずか1分程度の時間には、複雑なケアの関係が存在します。NKの中に希望が生まれ、ここには納得いくまで聴いてもらえるっていう安心感がある。

 次に、7班の男子二人はよく話します。しかし、SJさんはAHさんの方をチラチラチラ見ながらワークシートを見ようとしますが、隠くれてなかなか見えない。ここにも海元先生が現れます。海元先生は、「SJの考え方をAHにつなごうとした」と語っています。AHは、海元先生のかかわりをじっと見ています。このAHはきっとこの後、 SJの困り感を聞いてくれるような、子供に成長するだろと感じました。

 このグループは、TOです。ジャンプ課題になり、「こっちにしてよ」とメンバーとかかわります。TOもちゃんと対応してやりとりができます。ジャンプ課題という同じ土俵になった瞬間に、こういう学びが生まれます。この場合のケアというのは、ジャンプ課題自体がケアじゃないのかなというふうにも感じます。

 この8班のこと、この二人は「学びづらさ」を抱えています。前のメンバーの発言をオウム返しするように言葉が出てしまう。「なんで」っていう言葉を繰り返し、カイカイカイカイ・・・と言ってしまう。このグループの中には、不自然な反応に対しても、それを引き受けながら学んでいく。これもケアの一つかなと思っています。 

 この6班は、三人が、それぞれ抱える「分からなさ」を出し合っていく。なかなか解決できない時間が流れるが、海元先生はこのグループの前を通過すると同時、「何か困っている人いる」と問い、MM6が「12 、 13番がわからない」と発言し、それで全体の問題として取り上げる。こういった、友達同士の問いを受けながら、それを緩やかにつなげている関係、これもケアの関係だなというのを考えています。

 じゃあ、どのグループにもいる「わからない」というモヤモヤを抱えた子どもたちというのは、一体どんな気持ちで、ここに座っているんだろうなということを考えてみたいと思います。

 学校とは何ができるところなのか。皆さんの学校では、子供たちは希望を持って学校に通っていますか。そして、ネット時代といわれる現在ですが、学校は何をしなければいけないのか。「学ぶこと」について改めて考えております。そんな時にこの詩が浮かびました。「絶望の隣に何を出そうと腰かけた。絶望は隣の人に聞いた。あなたは一体誰ですか。隣の人はほほえんだ。私の名前は希望です。」これは、皆さんご承知の通り、やなせたかしさんの「希望」という詩集の一説です。

 伏して、絶望をかかえてモヤモヤしている生徒に、希望を与えるのが教育だということを、秋田喜代美さんは書いています。「子どもの中に学びの経験を通して生きる喜びだとか、希望を育てること」が大切にされるべきだと。今よく使われる「ウェルビーイング」だとか「希望」とかという言葉があります。学校は大事にしていく必要があると感じます。もう一人、ご紹介します。玄田有史さんです。この人は経済学者ですが、希望学という学問を構築しています。コーネル大学の宮崎広和教授らとの国際共同研究や意見交換が行われて東京大学社会科学研究所が中心となって行った「希望学」の共同研究の中で行き着いた言葉「Hope is wish for Something to come true by action」があります。これを訳すと「希望とは、行動によって何かを実現するための願いだ」要は、希望が持てないというのは、この4つの願い、何か、実現する、行動、のいずれかが欠けているのではないか。玄田さんは、希望は棚から牡丹餅はない。行動することで、動いたり苦しんだりすることから持てるものだとも言っています。

 この言葉を手がかりにして考えたいのはケアです。玄田さんは、震災が起きる前から釜石に関わっていた人で、ある本の中で「幸福と希望」ということについてこういう言葉を言っています。

 「そんな幸せな旅、これから先もずっとしたいも、幸福は常に持続してほしいという願いとつながっている。希望は少し違う。今、やるせない状況を変えたい。新しい自分になりたい。事の大小問わず、どちらかというと、変化と一瞬を望む気持ちが希望の奥にはある。」と書いています。希望にはウィークタイズ。ウィークという弱いタイズ結び目。いつも顔を合わせいるわけではない「ゆるいつながり」が希望を持つためにはとても大切であると述べています。ゆるい関わりは、新しい価値を生み出す希望になる。こういうのはとても大事だと思います。自分と違う価値観、世界を持っていると、新しい情報に出会うことができる。適度な距離感があるので、プレッシャーが少なく、心の支えという点で息抜きにつながる。一方、ストロングタイズは、例えば家族、学級の子どもたちのように絶えず一緒にいる関係で、毎日顔を合わせる。やっぱり強い絆というのは信頼があって困った時にはいい。共感や精神的な安心感もあるが、同じ価値観を持っているので新しいイノベーションが起きない。プレッシャーが生じて、もめやすい。希望を持つためウィークタイズが大事なのは頷ける。では、教室にとってはどうだろうか。ちょうど真ん中ぐらいがいい。それがケアリングという感覚になると思うのです。相手の立場に立ち、その人が何を必要としているかを知ろうとする。先ほどのNKに対してSS2が行った関わりです。それから相手を支えるためのケアをする、ケアすること自体が人間的に成長することになる。そして、忍耐強く相手を見守り、希望や安心感を与えるという、こういった関わりが、学びをずっと支える。今日、見ていただいた授業の中では、ジャンプ課題に諦めずに食いついてきた様子が読み取れます。また、海元先生の動きです。いろんなグループの中で、生徒の声を拾って、ケアをしている姿を、子どもたちがよく見ています。こうした毎日の学びの作法が教室に伝わっていっていることを学びました。

 知多中学校の原田校長先生にインタビューをしました。原田先生は7年前、教務主任として知多中で勤務した。その時は、できる生徒と教師による一斉授業ばっかりだった。ところが、2025年に校長として赴任したら、教え合いではなく、学び合いによって、ほとんどの生徒がアウトプットできるような授業に変わっていた。授業中に伏せる生徒は一人もいない。大きな驚でした。やはり「わからないと言える」授業は、激しく変化する時代において、協働して生徒が解決してく学びは大切で、研究の方法として後押ししている。さらにこの先生の学校経営ビジョンとして「子どもが居心地のよい学校にしたい」かかげ、校長先生自身がよく教室を訪問して、授業から学んだことを文章化して本人に渡して、励ましている。さらに、落合教師のリーダーシップにすごく感謝していました。

 4月当初に提案して終わるんじゃなくて、先生自身が教室を回り、各先生の授業を見て、その先生とコミュニケーションを取りながら、本当によく授業の話をしている。これは学校力を高める。そして海元先生を褒めていました。若手のホープで、転出したのが残念だった。彼は授業力だけではなく、生徒指導力である。傾聴型の生徒指導ができる。

 典型的な令和型の教師だと言っていました。そして落合先生にもインタビューしました。落合先生は、「この学校には学び合いが必要なんだ」とすると、この年に確信した。そして、同じ市内の藤山台中、高森台中の実践を見て、「この学校でも学び合いをやっている。これなら行ける」と実感した。

 先生方へのメッセージは「生徒に目を向けよう」「子どもたちの様子を看取る力をつけてほしい」ということを言って始めました。素晴らしいことですね。そして落合先生自身の授業の中でも生徒から「自分たちで考えていいんですか」という発言が出るように変化してきた。そして、 SSTという活動を取り入れて、一人ひとりが自尊感情を持てるような取り組みをした。

 さらには、ここまできたら佐藤学先生を招聘しても大丈夫だろうということを、長谷川前校長に具申した。そして名古屋大会で佐藤先生に依頼をしました。公開研究会の提案授業者として海元先生を推薦をしたわけです。今日学ぶことができました。

 一方、生徒アンケートからは、「ペアで話をすること、わからないから教えてということ」ができる生徒が、9割に達した。また、「仲間と考えを伝えようとして、じっくりと聞くことができる」のは、96%です。さらに、「仲間の考えを大切にすること」は97%になりました。「グループ活動が楽しい」は9割。そして、「学校に来ることが楽しいと思う」は95%となった。不登校が令和5年間からこんなに減った。奇跡です。令和7年、令和8年も維持しています。学び合う学校づくりのプロセスとは、「授業が変わる」と「子どもが変わる」そして「教師が変わる」と「学校が変わる」これは逆では絶対あり得ないということがよくわかります。

 やっぱり「誰も独りにしないケアのある平等性」を確保しながら、「情動を揺さぶるような探求的な課題」を取り入れることによって、深い学びが実現することが、この知多中で証明されています。

 知多中の学校改革は、ケアリング(子ども同士が子どもの内面を知り、関わって、子ども同士がお互いに尊重して人格を大切にする)そして、授業改善(一人一人の学びを保障する)。校内研究会で(教員が専門家として成長する)というようなことが、今起きているなということを学びました。

 最後に、海元先生の振り返りをちょっと聞いてみたいと思います。

海元先生のリフレクション

● 本日は、久々に一年前の教え子たちに再開した思いでした。動画も見させてもらい、授業の中で、やっぱり子どもたちがすごく頑張ってくれていた。改めて、当時の自分の姿や考えていたことが蘇ってきました。まだまだ自分自身勉強中です。本日、皆さんからご意見をお聞かせいただいて大変多くを学びました。子どもたちの頑張りを生かすことができるような教員にならなければいけないなと思いますし、今回の学びを生かして、授業づくりに成長していけたらなと思います。本日はありがとうございました。


参加された方からの振り返りを紹介します。

◆ 今日のセミナーで学習した中で重要だと思ったことは、45分の授業の中で、様々な班でいろいろなケアが行われていたこと。困り感が見える先生が寄り添うことで相手の立場に立ち、必要なことを察する子どもを育てることができることです。

ありがとうございました。改めてグループで授業を行うことの大切さに気づくことができました。知多中の最初の時を知っているからこそ、どうやって授業を行おうと考えていたことを思い出しました。ペアで話すことを授業で取り入れ、聞く力をつけていきたいです。