日記

アクティブ・ラーニングの研修とうれしい報告

公開日
2015/10/07
更新日
2015/10/07

仕事

私立の中高等学校でアクティブ・ラーニングの進め方についての研修を行ってきました。希望者を対象にアクティブ・ラーニングを進めるにあたっての基本的なことを3回に分けてお伝えする第1回です。先生方はなかなか時間が取れないので、授業時間中と授業後に同じ内容で2回行いました。参加いただいた先生方は、現在アクティブ・ラーニングを実際に取り入れている、取り入れようとしている方たちでした。こういった先生方が核になって、この学校の授業改善が進んでいくことと思います。1回目は、アクティブ・ラーニングを進めるにあたって、どのようなことに気をつけるとよいのかを授業技術や授業の進め方を中心にお話しました。

最初に、アクティブ・ラーニングは、これからの時代を生きる子どもたちに求められる資質・能力を身につけるための手段であることをお話ししました。知識だけでなく、「どのように社会・世界と関わりよりよく人生を送るか」「知っていること・できることをどう使うか」ということを考えた時に、従来の授業のやり方だけではそのような力をつけることが難しいので、アクティブ・ラーニングの手法を取り入れる必要があるということです。
そういう意味では、授業のデザインがとても大切になります。何を課題としてどのように進めるかです。特に課題が大切になりますが、アクティブ・ラーニングを進めるためにはその大前提として、教室が安心して暮らせる、何を言っても大丈夫な雰囲気になっていることが必要です。この学校ではその前提が満たされてきたので、アクティブ・ラーニングを進めていこうという空気になったのだと思います。
課題や発問、活動は、子どもたちにとって考える必然性のあるものでなければいけません。天下りで今日の課題はこれだと提示されても、積極的に取り組むことはできません。子どもたちが主体的に取り組めるような工夫が必要です。また、従来の教師の求める答を探すような課題や活動ではなく、考える過程や結論に至る根拠を共有することを大切にしたものでなければなりません。この学校でも、ペア活動やグループ活動が盛んになってきましたが、このことを意識して活動させることが必要です。
このようなことを、具体的な場面を例にしながら説明させていただきました。実際に取り組んでいる方は、自分の授業場面で具体例をイメージできるので、私の言っていることをよく理解していただけたようです。この種の研修は、実際に取り組みだしてからの方が効果的だということがわかります。
次回は、これからの時代を生きる子どもたちに求められる資質・能力はどのようなものかをもう少し具体的にして、アクティブ・ラーニングを通じて何を目指していけばいいのかをお伝えしたいと思います。

空き時間に、英語科の先生から最近の授業での子どもたちの様子を聞かせていただきました。高校3年生のその授業では、子どもたちが興味を持てるような軽い小説を配って、内容を英語で要約するという課題を与えています。先生が教室に入った時には、すでにグループの隊形になって課題に取り組んでいるそうです。疑問な点があっても、先生には質問せずに自分たちで聞き合っています。中にはグループではなく個人で取り組みたい子どももいるそうですが、そういう子どもも必要であれば手の空いた友だちに相談しているようです。授業者の予定よりも早く進んで、ワークシートの準備が追いつかないほどだそうです。子どもたちの興味を引く課題と、子どもたちだけでわかるように工夫したワークシートのおかげで、自分でわかったという達成感を持たせることに成功しています。ですから、子どもたちは自主的にどんどん取り組んでいるのです。この1年余りいろいろと工夫を重ねてきた結果、この学校の子どもたちのよいところを引き出すことに成功したようです。前向きに取り組んできたことが実を結びつつあります。「授業中に子どもたちから必要とされていない」とその先生は笑っていましたが、ある意味理想的な姿だと思います。授業中は何もしていないように見えても、その陰では教材の吟味や課題の設定、印刷などの準備に多くの時間を費やしています。黒子に徹しているのです。こういった取り組みの成果を今後どのように広げていくのかが、とても大切で楽しみな課題です。

先生方のおかげで、とてもよい学びをさせていただいていることに感謝です。