学年の課題を考える
- 公開日
- 2016/07/04
- 更新日
- 2016/07/04
仕事
6月の上旬に中学校で授業アドバイスをしました。この日は3年生と1年生の様子を見ることを中心にしました。
3年生は、一部の授業で子どもたちの集中が切れていました。というか、子どもたちが先生を見透かしているように見えます。参加する子どもはテンション高く反応しますが、そうでない子どもは、自分に必要と思える場面のみ参加します。計算高いと言ってもいいでしょう。授業者がそこまでの参加を求めていないと子どもたちが感じているのかもしれません。授業者が子どもとの信頼関係を築けなかったということでしょうか。この学校では3年生になれば、どの先生の授業でも前向きに参加するのが通常なのですが、ちょっと気になります。どうこう言っても3年生です。授業者が意識をすることでよい方向へ変わっていくはずです。子どもたちに積極的な参加を求めてほしいと思います。
もちろん多くの授業では、子どもたちが積極的に参加している姿を見ることができます。しかし、子どもたちがよく聞いてくれるので、授業者がしゃべりすぎるように思います。また、授業業者が結論をまとめることが多いようにも感じました。力のある子どもたちなので、授業者が自分の言いたいことを言うのではなく、もっと子どもたちを活かすことを考えてほしいと思いました。
1年生は、出身小学校の色を引きずっている子どもが多かったように感じていたのでしたが、それがまじりあって一つの色になりつつあります。そのこと自体はよいのですが、隙あらばテンションを上げて発散しようという空気を全体に感じました。ちょっとした雑談や脱線に過剰に反応する傾向があります。授業者が意識してコントロールしないと、落ち着かせるのに時間がかかってしまいます。
このことは、授業者の問いかけによく反応する子どもがいるということでもあります。上手く拾って、全体につないでいけば授業は活性化するのですが、一つ間違えると一部の子どもと授業者だけで進んでいくことにもなります。このことを意識できている先生は上手く全体をコントロールできているのですが、そうでない方も目に付きます。授業者が、場面ごとに見せてほしい姿を明確にしていれば、子どもたちは素直にそういう姿になっていきます。
この学年の子どもたちは、授業者が意識していないと勝手な行動をとる傾向があります。同じ学級の子どもたちでも、授業者によって驚くほど見せる姿が変わります。力のある先生でも、自分の授業ではよい姿を見せているのでこのことに気づきにくい傾向があります。学年全体としてこのことを意識していないと、勝手な行動が増えていき、気づいた時には手遅れになってしまうこともあります。また、担任が子どもたちにどうあってほしいかを明確に意識できていない学級もありました。これは、担任に意識してもらうのはもちろんですが、まわりの先生方がサポートしないとなかなか立て直すことができません。
今回、学年主任と一緒に回ることができたので、こういった状況にはっきりと気づいていただけと思います。若い先生も多く、個々の力量に差がありますが、チームとして助け合って切り抜けることを期待しています。
この日は初任者の先生と一緒に授業を見る時間を多く取れました。
今回は特に、わからない、困っている子どもが、わかる、できるようになる場面を意識してもらいました。このことが一番よくわかるのが実技教科です。体育の陸上競技の授業でそのことを実感してもらいました。
ハードルはタイムを計っている場面でした。この場面は成果を知ることが一番の目的なのでしょうが、友だちの走っている姿を見て学ぼうとしたり、応援したりしている様子がないのが気になります。ただ走っているだけでは力はつきません。意識して走ることが大切です。また、授業では自分が直接活動している時間は意外と少ないものです。待っている間にどのような活動をするかがとても重要になります。友だちの走りを見てよいところを見つけたり、時にはアドバイスしたりすることは、自分が意識して走ることにもつながります。そういったことができるように、バディやグループで具体的に役割を与えておくことが大切です。走り高跳びなどは特に待ち時間が多いので、順番を待っている時間に何をさせるかを指示しておかなくては時間がムダになってしまいます。
この時間は複数の競技を同時展開しているのですが、集合させて話をする場面に差がありました。話しているのにもかかわらず、子どもたちの視線が指導者に向いていないグループもあれば、話す前から指導者を全員見ているグループもあります。その違いについて考えてもらうことで、どういったことが大切かを学んでくれたと思います。
わかったからと言ってすぐにできるようになるわけではありません。毎日意識して子どもたちと接することで、次第にできるようになるものです。大切なことは何かを意識し続けてほしいと思います。
今年度は諸般の事情で、訪問回数が減っています。次回は9月の訪問になります。夏休みを間にはさむので、どのような変化が起こるのか不安と期待が混じります。とはいえ、どの学年もチームワークはよいので、きっとよい方向へ変化すると信じています。楽しみにしたいと思います。