ねらいにつながる活動が大切
- 公開日
- 2016/07/25
- 更新日
- 2016/07/26
仕事
前回の日記の続きです。
1年生の国語の授業は、子どもたちが文章を5W1Hごとに短冊に書く場面でした。
授業者は、個別に子どもにかかわりますが、全体の様子がよく見えていません。終わってしまった子どもが、することがなくてごそごそしています。
1枚目の短冊を書けたか確認します。まだ、1/5ほどの子どもが書けていません。書けていない子どものところへ行って少し個別指導して、次の短冊を配ります。
次は何について書くかを子どもたちに問いかけ、「どこで」という反応をもとに、「どこでを書きます」と実物投影機を使って授業者が短冊に見本を書きました。短冊が先に配られているので、多くの子どもは自分が書くことを優先して授業者の短冊を見ていません。また、授業者が書いている様子をここで見せる意味はあまりありません。結果である文章を先に見せ、それから短冊を配ればよかったでしょう。
結局「どこで」と一部の子どもたちが反応しただけで、作業に入っています。「どこで」の例を具体的に答えさせるといった、よくわかっていない子どもが何を書いたらいいのかわかる場面が必要だったと思います。
作業を分割しているので、毎回早く書けた子どもは遊んでしまいます。途中で子どもたちが発言するような場面もないので、授業が締まりません。書く度に作業を止めて短冊を配る意味がよくわかりませんでした。
個別に対応することも必要ですが、まず全体の場で指示を徹底し、全員がきちんと活動できるようにすることを意識してほしいと思いました。
2年生の算数の授業は線分図を使って考えることを学習する場面でした。
子どもの顔がきちんと上がっていないのに説明をします。子どもの状態を見ることができていません。授業者の説明とは関係なく、ノートで作業している子どもも目立ちます。
授業者は黒板に書きながらしゃべるので、子どもの「ここに線を書きますか?」というつぶやきも拾えません。無視して説明を続けます。すぐに、他の子どもが同様のことをつぶやくのですが、これも無視してしまいました。
線分図のこちら側が何を表わしているかと子どもに問いかけます。この時点で前の作業が終わっていない子どもがたくさんいます。その子どもたちは授業者の問いに反応できません。数人の子どもが「白いバラ」とつぶやきます。授業者はそれを受けてすぐに黒板に向かって「白いバラ何個?」と問い返しますが、半分以上の子どもの顔が上がっていませんでした。子どもたちにとっては、問いを考えることよりも指示に従って書くことの方が優先なのです。
「5個」という言葉が一部の子どもから返ってくると、その言葉を受けて線分図に言葉を付け加えていきます。この間、授業者は一度も子どもたちの方を振り返りませんでした。
子どもが写すのをしばらく待ってから線分図の全体が何を表わすかを問いかけますが、多くの子どもがまだ写していました。数名の手しか上がらないので、もう一度問いを発します。今度は、ほとんどの子どもが手を挙げました。しかし、まだ手遊びをしたりして参加しない子どもが目につきます。
指名された子どもが「17個」と答えます。子どもたちから「いいです」という言葉が返ってきますが、ハンドサインをする子どもは数人です。子どもたちの中に「これでいいのかな?」という戸惑いが感じられました。授業者は「17個なんだけど」と受けて、「合わせた数と書いてください」と「合わせた数」と板書しました。なぜそう書くのかの説明は一切ありません。子どもたちも何の疑問も持たずにそれを写します。授業者が求める答を知ることが子どもたちの目的となっています。問いかけずに教えた方がまだよかったように思います。
しばらく待ってから、「この下に式と答を書いておきましょう」と「式」「答」と書き、子どもたちに作業させます。線分図をもとに式をつくることは、全体でやり取りをして一度経験させるか、せめて見通しを持ってからやらせたいところです。
できた子どもが手を挙げますが、個人指導に追われて対応できません。先生に来てもらえない子どもが手を挙げたままごそごそしています。できた子どもには全くムダな時間になってしまいます。個人指導を終えた時には、ほとんどの子どもの手が挙がった状態です。ここで、一番初めに手を挙げた子どもと反対側から○つけ始めました。その子どもはずっと待っていることになります。あくびをしながら手を下ろして、肩をもんで、また手を挙げたのが印象的でした。授業者がまわった後で手を挙げた子どももいますが、授業者はむこうに行ってしまったので待ち続けることになります。挙手した子どもに○をつけるというやり方はこういう状態を引き起こすことになるので、避けた方がよいでしょう。
子どもたちに式と答を聞きます。一人の子どもが答えた後、授業者は線分図を使うと「12と5で足し算だとわかりやすくなる」と説明しますが、そもそも線分図をかく時に「合わせた数」という言葉は天下りで子どもたちに書かせています。子どもたち自身ではそれぞれの線の長さが何を意味するのかを考えてはいません。まだ線分図を自分でつくることはできていないし、線分図をもとにして考えているわけでもなく、わかりやすいという実感はないのです。
この教材で大切なのは、問題文の示す数量の関係を線分図に表わせること、線分図の関係から式をつくれることです。そのための活動がなかったことが気になります。授業者自身がこの教材の意味をよくわかっていないのか、そのために必要な活動を考えることができていなかったのか、いずれにしても教材研究が不足しているように思います。
授業者が黒板に向いてしゃべっている間に、隙をみて伸びをする子どもの姿を何度も目にしました。子どもたちが主体的に考えることなく、受け身で書くことばかりになっているからでしょう。今、子どもたちにどういう姿であってほしいのかを意識することが大切です。そうすると、自然に子どもたちの状況を見ようという気持ちが起こってくると思います。その様子が自分の望むものと異なれば、自然にそうなるように授業を工夫するようになります。このことを積み重ねていけば、確実に授業力はつくと思います。
この続きは明日の日記で。