一人で考えることにこだわりすぎない
- 公開日
- 2010/08/09
- 更新日
- 2010/08/09
授業ワンポイントアドバイス
グループ活動や話し合いの前に、自分の考えを持たせたい。そのためにどのくらいの時間を取ればよいのかと相談されることがよくあります。
自分の考えを持たないと人の話を聞くだけで受け身になって、話し合いに参加できない。
最低一つは自分の考えを持たせてから、グループ活動に参加させたい。
教師にはこのような思いがあるのですが、すべての子に考えを持たせようとすると時間がかかるため、肝心の話し合いの活動の時間が無くなってしまいます。だから相談されるのです。このような相談をされる方は、自分の考えを持たせるために「一人で考える」よう指示していることが多いのです。
実際に授業を見ていると、考えを持てない子は時間を与えてもなかなか持てるようになりません。余分に時間を与えたからといって、考えを持てるようになるわけではないのです。逆に、早く考えを持てた子どもがだれてしまうこともあります。
自分の考えを持つことと、一人で考えることは決して同じではありません。考えを持つためには人の考えを聞くことも大切です。一人で考えて行き詰るなら友だちと相談してもよいのです。一人で考える「時間」にとらわれるより、自分の考えを持てる「活動」を大切にしてほしいのです。そう考えれば、「一人で考える」ことにこだわらず、最初からグループで相談する、苦しくなったら相談するという選択肢も出てきます。大切なのは、友だちとのかかわり合いの中で、答えという「結果」を共有するのではなく、どのように考えたかの「過程」を共有するように指導することです。
「最初に、こう考えたんだけど」
「こうやったけどうまくいかなかった」
「問題の意味がよくわからない」
このような言葉が出るようにすれば、自分の考えを持てていない子どもも、話し合いに参加できるようになります。人とかかわりながら自分の考えを持つことができるようになります。「一人で考える」ことにこだわりすぎないようにしてください。