根拠を問う
- 公開日
- 2010/08/06
- 更新日
- 2010/08/06
授業ワンポイントアドバイス
子どもに発言を求めるときに、答えや結果だけを確認する場面に出会うことがよくあります。
「主人公はこのときどんな気持だったと思う。考えを聞かせてください」
「とても悲しかったと思います」
「そうです。悲しかったんだね」
しかし、同じ答えだからといってそこにいたる過程や根拠は一人ひとり違うことがあります。また、そこにたどり着けなかった子どもは、結果だけを聞いても何故そうなるか理解できません。子どもに根拠を問うことで結果に至る過程を明らかにする必要があるのです。
「とても悲しかったと思います」
「なるほど、とても悲しかったと思ったんだ。それは、どこでわかるの」
「○ページの△行目に・・・と書いてあるので、ああ悲しいんだなと思いました」
「じゃあ、そこを読んでみて。・・・納得した人手を挙げて」
大人でも「なぜ」と根拠を問われると答えにくいものです。「どこでわかった」「それってどういうこと」と聞くことで、答えやすくなります。
資料から探すような場面でも、
「この人物はどういうことをした人。Aさん教えて」
「○○をした人です」
「それってどうやってわかった」
「資料集の何ページの下の方に書いてありました」
「あっ、あった」
「Bさん見つかった。何って書いてあった」
このようにすることで資料集のよさや使い方を子どもは身につけていきます。
「子どもの発言に対して、必ず根拠を聞くようにするといいよ」とアドバイスした先生に、その後を聞く機会がありました。
子どもが元気よく挙手をする学級でしたが、挙手の数が減ったそうです。今まで根拠を意識していなかった子どもが、根拠を考えるようになったためです。そのかわり首を傾けたりして考える場面が増え、友だちの発言を今まで以上に聞くようなったそうです。
根拠を聞くことで、子どもたちはより深く考えるようにもなるのです。