大人が伝えること
- 公開日
- 2010/08/25
- 更新日
- 2010/08/25
独り言
キャリア教育の模擬授業を検討していて考えたことです。
学校教育はどのようなことを目的としているかを考えてみると、次代の社会を担う構成員として必要な知識や態度を教え、育てることがその一つにあげられます。社会の継続性です。そのために必要なことを学校では教えているのです。これを働くという視点で切り取ったものがキャリア教育だと思います。ですから、キャリア教育といってもあらためて何かするというのではなく、子どもたちが学校で学ぶことが社会で生きていく上で役に立つのだという実感を持って生活してくれることが基本だと思います。
そう考えると、学校で学んでいることにリアリティがないことが問題だと感じました。学校で学ぶことは直近の受験のためで、その先にあるものは実感がないのです。社会に出て働くということには結びついていないのです。そもそも子どもたちに働くことのリアリティがないのです。
私が子どもの頃は町に自営の店がたくさんあり、子どもたちが手伝いをしている姿がよく見られました。農家の子どもも田植えや稲刈りで頼られる労働力でした。子どもたちに働くことのリアリティがありました。
今の子どもたちにこれを求めるのは無理です。短期間の職場体験ではなかなか難しいものがあります。
かれらに働くことと学校で学ぶことの大切さを考えさせても無理があります。それを教え伝えるのは大人の仕事です。社会に出て大切なことを身近な大人である教師や保護者がもっと子どもに伝える必要があると思います。そのうえで、毎日の生活の中、学校生活の中のどこでそれを身につけるのかを子どもに考えさせることが大切です。
例えば職場体験でも、単に経験するだけでなく、働く上で何が大切だと思ったか、職場の人は何を大切にしていたか、そしてそのことはどうすれば身に着くか。そんな問いかけが必要です。
働くことに関してだけでなく、社会で生きていくために大切なことを我々大人が伝え、子どもたちがそのことを意識して生活することが求められます。結果、学校で学ぶことのリアリティが生まれてくると思います。キャリア教育をきっかけに、大人の役割を考えさせられました。