日記

「結果を利用する」と「考え方を利用する」

公開日
2010/11/18
更新日
2010/11/18

授業ワンポイントアドバイス

算数や数学で、問題を解くときの手がかりが見つからなくて子どもたちの手が止まる場面によく出会います。解き方の手順を覚えるばかりでは、見たことのない問題を解く力はなかなかつきません。どのようなことが大切になるのでしょう。

解き方を知らない問題を解くときの壁は最初の一手です。どこから手をつけたらよいかがわからないのです。最初の一手を考えるときの基本は、「結果を利用する」と「考え方を利用する」です。
例えば台形の面積の求め方を考えてみましょう。
「結果を利用する」のであれば、面積に関して知っている知識=結果を整理します。正方形、長方形、平行四辺形、三角形の面積の求め方は知っています。台形をなんとかこれらの形にできないかと考えることから出発します。
「考え方を利用する」のであれば、平行四辺形や三角形の面積を求めるときにやった作業を思い出します。図形を切ったり、移動させて面積が求められる形を作ることから出発します。
結果的には、同じような活動になりますが、この2つの視点を意識することで、見通しを持って取り組む力がつくようになります。台形を対角線で2つの三角形に分けて考えた場合でも、先に三角形を意識した子ども、とりあえず切ってみることから始めた子がいるはずです。どちらかが優れているというのではなく、子どもたちにそのこと明確に意識させることで、問題を解く力がついてくるのです。

「A君は斜めに切って考えたんだ」
「A君は、すぐに斜めに切ろうと思ったの」
「平行四辺形の時に切ったから」
「なるほどね。前にやったやり方を覚えていたんだ。偉いね」
「それで、最初から斜めに切ったの」
「斜めに切ったら。三角形ができたから」
「それってどういうこと」
「三角形だったらわかるから」
「何がわかるの」
「面積」
「みんな三角形の面積はわかる」
「底辺×高さ÷2」
「なるほど、三角形の面積の求め方は知っているもんね。知っていることをうまく使ったね」

子どもたちが意識せずに使ったことを、明確にすることで視点が育ってきます。
したがって、新しい課題に取り組むときは、「今まで学習したことで利用できそうなことは何かな?」「今までやったやり方で利用できそうなことはないかな?」このような問いかけが大切になってきます。
算数・数学に限らず、他の教科でも、結果とそれを導き出した考え方を意識することで子どもたちの考える力、問題解決力が高まっていくと思います。