日記

普段の授業から学ぶ

公開日
2010/12/09
更新日
2010/12/15

仕事

昨日は、中学校で剣道の授業研究に参加しました。

検討会で授業者から、野中信行先生(ブログ)の「味噌汁・ご飯授業」という言葉が出てきました。研究授業の特別な「ごちそう授業」ではなく、日常的な「味噌汁・ご飯授業」の在り方を学ぶことを大切にしようという主張です。

本時は、子どもたちが始めて竹刀を持って活動する場面です。ところが、時間数の関係でどうしても基本的な動きをこの1時間で教えなければなりません。子どもたちの活動量を確保すると学校で進めている研究のテーマである言語活動の時間をあまりとれないことになってしまいます。よくあることです。そこで授業者は、あえて見せる授業をせずに、こういう時間のない時に普段行う授業を見せることにしたのです。

授業者の説明の後、子どもたちが活動し、互いに動作を確認し合いますが、なかなか修正されません。一つひとつの動きの完成度を高めるためには、ポイントを子どもたちに確認する機会を何度も取ったり、代表者に実技をさせ、全体でどこがよいか、何が違うかを話し合うなどの方策が必要です。しかし、授業者はそのことにあえて時間を使いませんでした。それよりも、子どもたちの活動時間を少しでも多くとろうとしました。
子どもたちは、とても楽しそうに活動していました。たくさん竹刀を振って活動することで、初めて剣道に出会う子どもたちが、剣道を楽しいと感じてくれたのです。
このことが授業者のねらいだったのです。

この授業を別の視点で見れば、竹刀の持ち方がきちんとできていない子がいる、きちんと竹刀の先で面を打っていない子がいる。それなのにきちんと修正できていない。子どもたちが考えたり、発言したりする場面が少ない。そんな意見も出ると思います。しかし、大切なのは授業者が子どもたちに何を求めているかです。剣道を楽しいと感じてくれるという授業者の目指す子どもの姿があり、それが実現できたとてもよい授業でした。
普段の授業の中にこそ、教師が大切にすべきものが何かが見えてくることをあらためて教えていただきました。