見たいものしか見えない
- 公開日
- 2010/12/08
- 更新日
- 2010/12/08
授業ワンポイントアドバイス
子どものよいところ見つけて、ほめることが大切であるとよくアドバイスします。ところが、中には「悪いところばかり目につく」「よいところが見つからない子がいる」と、困っている方もいらっしゃいます。どうしてなのでしょう。
生徒指導担当の教師は、生徒とすれ違うと、髪型やスカートの長さといったところにすぐに目がいくようです。立場上、校則違反を見つけて注意しなければならないと思っているからです。「悪いところ見つけ」をしているのですね。人は見たい、見ようと意識していること以外はなかなか目に入らないものです。毎日通いなれている道でも、樹に興味のない人は、どこに何の樹があるかすぐには言えないものです。また、樹の名前そのものを知らなければ、意識もできません。
子どものよいところ見つけたければ、まずそのことをいつも意識することです。何かほめることがないかという目で見るのです。
もう一つ大切なのは、ほめることを子どもの姿として具体化することです。どんなことがほめられるのか、どんなことをほめたいのかを具体的にすることです。
例えば授業中にほめたいことはどんなことなのか、子どもの姿で書き出してみるとよいと思います。
友だちの話にうなずいた。
友だちの言葉をつないだ発言ができた。
わからないことを友だちに聞いた。
聞かれたことを一生懸命説明した。
授業が始まる前にきちんと用具が出ていた。
姿勢がよかった。
手をまっすぐに挙げた。
板書以外にメモをとっていた。
途中であきらめずに、最後まで問題に取り組んだ。
・・・
些細なことでもいいのです。いろいろなレベルが混じってもいいのです。教師の見たいものを具体化するのです。子どもは一人ひとり違います。ある子にとって当たり前のことでも、他の子にとってはなかなか難しいことがあります。ほめることは一人ひとり違っていいのです。一人ひとり子どもたちの顔を思い浮かべながら、「この子はこんなことでほめたいな」と考えれば、ほめることが見つからない子もなくなると思います。
聞くことも同じです。授業中につぶやきを拾うことも、「こんなつぶやきがでるといいな」と思っていると耳に入ってくるのです。
人は見たいもの、見ようとしたものしか見ることはできません。子どもの「何を見たいか」を明確にすることが、子どもをよく見ることにつながるのです。