多くの人と共有したい授業
- 公開日
- 2011/10/14
- 更新日
- 2011/10/14
仕事
愛される学校づくり研究会が主催するフォーラムでの算数の提案授業の撮影にでかけました。前回(提案授業から大いに学ぶ参照)の続き、2時間完了の2時間目の授業でした。
先行授業から細かいところをよく修正していました。辺の色と長さを対応付けている教材ですが、子どもたちの意識を色から長さへと向けるための細かい仕掛けがされていました。また、仲間分けのルールも明確であったため、その点で子どもたちが混乱することはありませんでした。仲間外れがいないなど、分け方のルールは守れているのですが、長さを意識したため、先行授業と比べて時間がかかる子どもが多く見受けられました。色で分けるのとは難易度が違うことがよくわかります。抽象度が上がるのです。しかし、分け方の説明は長さを意識したものになっていたので、焦点化しやすくなっていました。
ICTの活用場面も、前回から細かくブラッシュアップしていて、提案としては文句のないものになっていました。
わずかな時間で、指導案、ソフトともに大きく進歩していたことには感激しました。少しでもよい授業をしたいという算数チームの熱意を感じました。
今回の授業で考えさせられたのは、「子どもの言葉にどのようにこだわるか」です。
子どもの発言は色から長さへと抽象度が上がっているので、表現がどうしてもうまくできません。これをどう算数の言葉として無駄なく整理されたものにし、全員に共有化させるかが課題として浮かび上がりました。授業者は発言者に整理させることこだわりすぎたため、共有化に時間がかかりました。他の子につないでいくという選択肢もあったと思います。
また、子どもの言葉にこだわって、その説明をもとに三角形を1つずつ仲間かそうでないか分類して、考えを共有化する方法もあったかもしれません。
辺の長さが違うという理由で仲間分けしたのに、分け方を間違えた子どもがいました。授業者は仲間分けが正しくないという視点で修正しようとしましたが、結局間違いということで終わってしまいました。「辺の長さが違う」という子どもの言葉を認めて、「こうやって仲間分けしたんだね。同じ理由で分けた人いる」と結果でなく、理由に焦点を当ててつなぎ、分けた結果を修正していく展開もあったかもしれません。もし時間があれば、全員で「辺の長さが違う」三角形を仲間分けすることで共有化する方法もあります。
子どもの言葉をいかし、つなぎ、深める。子どもの言葉を手掛かりにして活動し、共有化する。口で言うのは簡単ですが、これはとても難しいことです。この授業では、まず子どもの言葉を引き出せたことを評価すべきでしょう。前回より進歩したことで、新たな課題が見つかったのです。こうしたことの繰り返しで授業力はついていきます。
この日は検討会を開く時間はありませんでしたが、フォーラムとは別に多くの人に集まってもらって、ビデオ検討会を開きたいと思います。それだけの価値のある、多くのことが学べる授業でした。
授業者とそれを支えるチームの力が合わさって、とても素晴らしい授業がつくられていきました。このような場面に立ち会うことができたことに感謝します。