楽しく、有意義な研究会
- 公開日
- 2011/10/17
- 更新日
- 2011/10/17
仕事
愛される学校づくり研究会に参加しました。今回は、困難校を立て直した校長先生のお話しと、来年のフォーラムの内容検討、学校の見える化についての話し合いと盛りだくさんでした。
私は、困難校の立て直しの方策は、大きく2つの方法があると思っています。1つは行事やイベントを通じて子どもたちや教師の活躍の場をつくること。もう1つは授業の改革です。この校長先生がとったのは前者の方策でした。借り物ではない学校独自の新たな取り組みを通じて子どもたち、教師集団を変えていかれたのですが、何がすごいといってそのスピードです。赴任してすぐに企画がはじまり、夏にはすでに子どもたちが動き始めています。学校の様子を見ながら考えるという発想ではこうはいきません。穏やかな表情で静かに語るその内に、確固たる意志が存在していることが伝わってきます。
教師集団に自分の思いを伝え(校長からのWebを活用した発信)、子どもたちに活躍の場を与え(新たなイベント、子どもたちの発表の場の確保)、外部から「君たちはすごい」と子どもたちが評価される仕掛けをし(保護者を巻き込む、新聞などのマスコミで取り上げてもらう)、子どもたちが評価されることで学校も教師も評価されて教師のエネルギーが上がっていく(取り組みを書籍として発行)、というよいサイクルがつくりだされていました。学校が元気になっていくための必要条件を見事にクリアしています。緻密に考え、大胆に行動する。リーダーに求められる事は何かをあらためて教えていただきました。
新しいことに取り組むにはエネルギーがいりますが、うまくベクトルがそろえば大きな力が生まれます。しかしながら、新たなものを生み続けるには限界があります。軌道に乗った後が実は大変なのです。校長先生の言葉の中に、トップダウンからボトムアップということが出てきました。次のステップをちゃんと理解していて、そのために動かれていることがよくわかります。だからこそ、この学校の真価が問われるのは、この校長先生が去られたときです。それがいつかはわかりませんが、きっとそれに間に合うように教師集団を育てていかれることと思います。
学校改革を成功させた話は必ず似たようなステップをたどっています。そして、時間がかかり、最後まで残るのが授業の改革です。学校において一番基本である授業を変えていくことがいかに難しいかを象徴しています。この校長先生がどのように授業に手を入れていくのだろうかと考えたときに、某市の前教育長とその取り組みを思い出しました。市として取り組む事を考えるとイベントで押していくことはできません。授業を変えることで学校を変えるという正攻法に正面から取り組み、見事な戦略で市全体の不登校の減少という結果を残されました。どのアプローチが正解というわけではありません。しかし、学校である以上、授業は避けては通れないものです。私が、アドバイスをしている学校の多くが、子どもたちが落ち着いてきた、子どもたちが落ち着いている、だから今こそ授業を改善するチャンスだと考えられていることにもそのことが表れています。1時間半ほどの短い時間でしたが、実にたくさんのことを考えさせられるお話でした。
フォーラムの内容検討はスムーズに進み(要は役者がそろっているので、その場の流れで出たとこ勝負?!)、研究テーマの「学校の見える化」についての話し合いに入りました。
参加した以上何か喋らせるというのが司会者である会長の方針です。全員「何を見える化すればいいのか」について発表しました。人の発表を聞きながら自分の考えをまとめるというのは、結構きびしいことです。「同じです」が許されない全員指名が、いかに子どもを鍛える(!?)ことになるのか実感できます。運悪くなのか、意図的なのか、最後の発言者となってしまい、当然のようにまとめろとのご指示。司会者がまとめるのではと反論の言葉をぐっとこらえ、皆さんの話をもとに「見える化する視点」を私なりに整理してみました。
・個で見えないものを見える化する
・個によって異なって見えるものを見える化する
・見たものに行動を促すようなものを見える化する
・ポジティブに評価されるものを見える化する
・(定期的に発生するイベントなどで)変化を見ることでアラートとなるものを見える化する
こうして外化することで整理するきっかけをいただきました。この視点で見ると結構見つかるような気がします。そして、その場では言いませんでしたが、見える化にかかわるコストが大切になります。「見える化のために時間がかかり、改善する時間がなくなった」では、笑い話です。このコストを下げるのに有効なのがICTだと思います。このあたりのことを考えることが「学校の見える化」とは切り離せないと思います。
いつもながら実に学ぶことの多い、有意義な時間を過ごさせていただきました。ああ、楽しかった。