日記

落ち着いた学校から学ぶ

公開日
2011/10/18
更新日
2011/10/18

仕事

昨日は中学校で講演をおこなってきました。

最近は、学校から講演を引き受けるときに、合わせて授業を参観させていただくようにお願いしています。なかなか公開していただけないこともあるのですが、この学校は何と全員の先生の授業を公開していただけました。負担なく授業見合うことができるように、公開授業でも細かい指導案は作成せず、この授業で何をこだわるか、どんな工夫をするかなどを簡単に書いたものだけですませています。簡単なものですが、授業を見る上で大いに参考になりました。とてもよい工夫だと思いました。

3校時参観させていただきましたが、大規模校なので一つひとつの授業は数分しか見られません。しかし、どの学級でも子どもたちが落ち着いて学習に取り組む姿が見られました。とても素直な子どもたちです。この日見た子どもたちの姿をもとに、「子どもが考える・活躍する授業づくり」について講演をさせていただきました。

最初に、この学校の子どもたちについて少し話をさせていただきました。

・子どもたちは良くも悪くも素直
子どもたちは素直に反応を示します。しかし、教師の求める姿以上の姿は見せてくれません。たとえば教師が話を聞いてほしいと強く意識ない場面では、集中して聞こうとはしません。逆に、教師がそう願えば、それに応えてくれます。教師が明るい笑顔で授業をすれば、子どもたちも笑顔で応えます。教師の授業に対する思いを鏡のように映し出す子どもたちでした。教師が高いことを要求すればそれに応えて伸びてく子どもたちです。

・子ども同士の人間関係は良好
実技教科のグループや班活動ではとてもよい表情を見せます。わからないことをまわりの友だちに聞く姿も見られました。このような子どもたちですので、グループやペアを上手に使えば、非常に効果的だと思います。

・消費者的な行動が気になる
これは最近の中学生に共通することかもしれませんが、効率的に結果を得ようとする傾向があるようです。友だちや教師の話を聞いていなくても、板書はきちんと写します。まず、ワークシートの穴を埋めることが優先されます。子どもたちは板書を写してワークシート完成しておけば試験では困らないということでしょう。

このことをもとに、どのようなことを意識して授業をすればいいかお話をしました。
直接は伝えませんでしたが、この学校が次のステップに進むために必要なことは子どもたちの現状を変えたいと先生方が思うことです。授業を妨害する子どもはいない。試験の成績もよい。「何か問題があるのか?」と先生が思っていては前に進みません。
素直な子どもたちです。逆につまらない授業、価値を感じない授業に対しては、集中しない、聞かない、手遊びするといった形で明確にメッセージを発信しています。先生方がそのメッセージをきちんと受信しないと、ちょっとしたほころびがやがて大きな問題を引き起こしかねません。
このことを伝えようとしましたが、うまく伝わったか自信がありません。力不足を感じました。

講演の後たくさんの若い先生が質問に来てくれました。彼らの授業について具体的な話ができたことはとてもうれしいことです。前向きな若い先生に元気をいただきました。
子どもたちが落ち着いていて、特に問題を教師が感じない学校を、より高いところに持っていくことはとても難しいことです。そこに挑戦しようとしている校長先生はじめ教務主任や中堅の先生方の姿勢は素晴らしいものです。この姿から学んだことをぜひ他の学校でも活かしたいと思います。とてもよい勉強ができた1日でした。ありがとうございました。