社会(歴史分野)で大切にしたい問いかけ
- 公開日
- 2011/12/05
- 更新日
- 2012/03/28
教材研究
社会科では資料をもとに気づいたことを問いかけることがよくあります。ただ、子どもたちの資料を見る視点、考える視点が育っていないと、「気づいたこと」と問うだけでは、どこを見ればよいか、どうすれば気づけるかわからなくて困ってしまうことが多いように思います。
歴史分野では、歴史的な事件や事実をつながりとしてとらえるために、ビフォアとアフターを比較するという視点を与えるとよいでしょう。ある事件、事実を境にして何が変わったのか、変わらなかったかを問うのです。原因と結果といいかえてもよいと思います。その事件、事実を挟んで比較できる資料をもとに考えさせる。原因となる事実を調べさせる。こうすることで歴史を線で結ぶことができます。
たとえば、「長篠の戦い」のようすを描いた屏風図を資料として考えさせるのであれば、これ以前の戦いと比べて、何が違う、気づいたことはないと問いかけると、視点が明確になります。それ以前の戦いのようすを描いた資料も準備しておけばよりたくさんのことに気づくことができるはずです。また、戦いの結果、何が変わったかを問いかけることで、武器の重要性、それに伴う資金の問題など戦いを左右する要素に気づくこともできるでしょう。
平安時代の「農民の逃亡」であれば、なぜ逃げた、逃げた人はどうなったと問うことで、租庸調という税の負担がどのようなものであったか、また、口分田に始まり、三世一身の法、墾田永年私財法を経て荘園の発達へ続く流れやそのつながりを整理することができます。
歴史分野の教材研究では、教科書の内容一つひとつをどう説明するかではなく、どこを中心に展開するかを考えてほしいと思います。どこを起点として歴史が大きく動いたか、変化したか、そういう視点で教材をとらえ、その前後を比較させることが、子どもたちが考える授業につながります。歴史の変化をとらえるという視点を育てることで、子どもたちは多くのことに気づけるようになると思います。